Presentation Information

[T15-O-16]An integrated stratigraphy around the end of the mid-Pliocene Warm Period based on paleomagnetic and oxygen isotopic data analyses from the Chikura Group, southernmost part of the Boso Peninsula★「日本地質学会学生優秀発表賞」受賞★

*Akihiro TANIMOTO1, Makoto OKADA1 (1. Ibaraki Univ.)
PDF DownloadDownload PDF

Keywords:

Middle Pliocene Warm Period,Paleomagnetism,Marine oxygen Isotope Stage,Boso Peninsula,Late Pliocene

中期鮮新世温暖期(mPWP:mid-Pliocene Warm Period)とは,約3.3~3.0 Maの気候温暖期を指しており,地表の平均気温は現在と比較して2~3℃高く,CO2濃度が現在(約350 ~450ppm)と同等かそれ以上であったと推定されている(たとえば,Haywood et al., 2016).このため,現代から地球温暖化の進行した近未来との気候アナログとして注目されている.また,mPWP後の約2.7 Maには北半球における氷床成長が顕著となる北半球氷河作用(NHG:Northern Hemisphere Glaciation)が発生し,氷期-間氷期サイクルが卓越するようになったことが知られている. したがって,3.0 Ma頃は地球の気候システムの重要な転換期であるといえる.
 しかし,鮮新世にまで達する深海底コアの堆積速度は数cm/kyr程度であるものが大半を占めており,地磁気逆転と海洋酸素同位体ステージ(MIS:Marine oxygen Isotope Stage)との対応関係が不明確であることから,地層間の詳細な対比が困難である.そこで本研究では,堆積速度が約70cm/kyrと推定されている房総半島南端地域に分布する千倉層群布良層を対象とし,mPWP末期に発生した地磁気逆転であるカエナ逆磁極亜帯上部境界付近において,古地磁気-酸素同位体複合層序を構築し,地磁気逆転とMISの対応関係について議論する.
 これまでのところ,約1-3 m間隔で行った古地磁気測定によって上部カエナ境界の層位が明確化された.また,予察的な酸素同位体測定により,上部カエナ境界はMIS G21からG20 の間に対応する可能性が示唆された.この結果は,これまでMIS G21と対応すると提唱されてきた上部カエナ境界がより若くなることを示している(たとえば,Hodell and Channell, 2016; Lisiecki and Raymo, 2005; Wang et al., 2021).
 今後,酸素同位体測定のデータを拡充することで,より層位関係を明確化する予定である.

謝辞
 本研究は,東京地学協会調査・研究助成(研究課題:房総半島南端地域に分布する海成堆積層を用いた後期鮮新世の連続古地磁気変動復元)の一部を使用して行われた.

引用文献
Haywood et al. (2016) : Nature Communications, 7:10646. doi: 10.1038/ncomms10646.
Hodell and Channell (2016): Climate of the past, 12, 1805-1826, doi:10.5194/cp-12-1805-2016.
Lisiecki and Raymo (2005): PALEOCEANOGRAPHY, 20:1003. doi:10.1029/2004PA001071.
Wang et al. (2021): Frontiers in Earth Science, 9. doi.org/10.3389/feart.2021.683177.

Comment

To browse or post comments, you must log in.Log in