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[T12-P-5]The Distribution of Submarine Volcanoes with the Potential of Pumice Eruptions around Japanese Islands

*Fumihiko IKEGAMI1 (1. Ikegami GeoResearch)
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Keywords:

Marine Geology,Submarine Volcano,Pumice Raft

海底火山による軽石噴火は、港湾インフラや水産業に多大な影響を及ぼす災害リスクであり、1883年のクラカタウ噴火(Simkin & Fiske, 1983)、2018年のVolcano F噴火(Jutzeler et al. 2020)、2021年の福徳岡之場の噴火(Ikegami, 2021)などがその例である。しかし、これらの噴火と被災の間には週から月単位の時間的余裕があり、フェンスの敷設などの事前対策により被害を大幅に軽減できる可能性がある。計画的な備えには地域ごとのリスク評価が不可欠であるが、日本近海における海底火山の分布については未解明な部分が多い。

軽石噴火を引き起こす海底火山は、海底地形としてカルデラ、火砕丘、溶岩ドームなどの形態で現れることが多い。文献情報や海底地形の精査により、これらの火山が伊豆弧、小笠原弧、火山列島、琉球弧、沖縄トラフ、東北日本の背弧、千島弧に分布していることを明らかにした。伊豆弧では火山フロントや島弧内リフトにカルデラ火山が広く分布しているほか、背弧火山列にも新鮮な珪長質溶岩ドームが見られる。小笠原弧では火山フロント上にデイサイトを噴出する成層火山体があり、これらが軽石噴火の供給源となり得る。火山列島では火山フロント上にトラカイトを噴出するカルデラが多く、2021年の福徳岡之場の噴火による漂流軽石の噴出がこれに該当する。琉球弧では火山フロントの北部および中部に多数の海底カルデラが分布し、1934年の鬼界カルデラ昭和硫黄島の噴火もこれに当たる。沖縄トラフでは中部から南部にかけて珪長質溶岩ドームが多数存在し、1924年に軽石噴火を引き起こした西表島北北東海底火山もその一つと考えられる。東北日本の背弧側では歴史的な軽石噴火の事例はないが、男鹿半島の戸賀火山や奥尻島の勝澗山、利尻島の利尻山などの第四紀の珪長質噴出物があり、これらの噴火が海域で発生すれば大量の漂流軽石を生じる可能性がある。千島弧には火山フロント上にデイサイトや流紋岩を産するカルデラが多く、海域での噴火が漂流軽石を引き起こす可能性が高い。

総じて、軽石による災害発生リスクは本州南岸および南西諸島で非常に高いが、日本海側や北海道においてもその可能性は否定できない。ごく一部の例外を除きいずれの火山においても噴火履歴は未知であり、今後の海洋地質学的調査や陸上の沿岸堆積物の調査などから明らかになるポテンシャルを秘めている。

Ikegami F., 2021. 2021 submarine eruption, Fukutoku-Oka-no-Ba, Japan. Newsletter for the Learned Australasian Volcanology Association. December, 2021. pp.13-14.
Jutzeler, M. et al., 2020. Ongoing Dispersal of the 7 August 2019 Pumice Raft From the Tonga Arc in the Southwestern Pacific Ocean. Geophys. Res. Lett. 47, 495.
Simkin, T., Fiske, R.S., 1983. Krakatau, 1883--the volcanic eruption and its effects. Smithsonian Institution Press.

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