Presentation Information
[T13-P-11]Reef-building organisms and environments of semount reef limestones (Upper Jurassic-Lower Cretaceous) in Kitami area, Hokkaido
*Natsuko ADACHI1, Toshio KAWAMURA2 (1. Osaka Metropolitan University, 2. Miyagi University of Education)
Keywords:
Jurassic,Reef,Semount carbonate,Panthalassa
テチス海縁辺域に発達したジュラ系生物礁は,古くから研究がなされ,それらは,六射サンゴ,層孔虫,珪質海綿,微生物類などから主に構築された (Leinfelder and Schmid, 2002).パンサラッサ海の中緯度西域に位置した高知県佐川地域で代表される鳥巣石灰岩 (上部ジュラ系〜最下部白亜系) からも,六射サンゴ,層孔虫,微生物類によって主に構築された礁が知られている.北海道北見地域の仁頃層群中に分布する上部ジュラ系〜最下部白亜系石灰岩は,パンサラッサ海の低緯度域に発達した海山に起源し (榊原他,1993),同時代に類例の稀な海山頂に発達した礁の特性を理解する有用な情報を提供する (川村他,1995).本研究では,北見地域に分布する礁性石灰岩を対象に,微生物類を含めた造礁生物の特徴や形成環境を検討する.
石灰岩は,玄武岩質凝灰岩や泥岩中に囲まれた数10cm〜数10m規模のブロックとして産出する.礁性石灰岩は,主要な造礁生物を基に,(a) 紅藻類−層孔虫,(b) 六射サンゴ−層孔虫,(c) 層孔虫−微生物類の各boundstoneが識別される.(a) 紅藻類−層孔虫boundstoneでは,紅藻類 (solenoporaceans) や層孔虫,六射サンゴの造礁骨格生物が40〜50% (面積比率) を占める.被殻微生物類のLithocodiumやBacinella, Girvanella, Iberopora が3〜15%を占有し,それらが,礁の枠組み表面や枠組み間を充填する.Bacinellaは特に紅藻類の成長中断面や周縁部に発達し,穿孔する場合が認められる.枠組み間は,ウミユリや二枚貝などの生砕物やコートイド,ウーイドを含むgrainstoneが充填する.(b) 六射サンゴ−層孔虫boundstoneでは,六射サンゴや層孔虫が主要な枠組み構築者で40〜60%を占有する.1〜2mmの厚さの層状層孔虫と被覆微生物類が繰り返し累積することでboundstoneを形成する場合も認められる.(c) 層孔虫−微生物類boundstoneでは,造礁骨格生物は,10〜15%と少ないものの,LithocodiumやBacinellaの他に,フィラメ ントや球状微生物を散点的に含むペロイド状粒子が40%程度を占有し,それらが,枠組み表面でドーム状に発達したり,枠組み間を充填する.
(a) や (b) タイプのboundstoneは,生砕物やウーイドを含むgrainstone中に発達する.造礁骨格生物の割合が高く,被覆微生物類が二次的に補強することで,水流エネルギーの高い浅海環境下で,強固な枠組みを備えた礁を発達させた. solempporaceansが豊富な上部ジュラ系礁の例は少ないものの,本研究と同様の高エネルギー環境からの報告がある (Dupraz and Strasser, 1999). 一方,(c) タイプのboundstoneは,微生物の代謝起源や生砕物の細粒子化に起源するペロイド状粒子を豊富に含んでおり,(a) や (b) タイプより水流エネルギーの低い浅海環境下で発達した.今後さらに詳しく,同時代に発達した礁の生物相とも比較することで,当時の海山頂に特異な礁生態系の特性を明らかにしていく.
(引用文献)
Dupraz and Strasser (1999) Facies 40, 101-130. 川村寿郎他 (1995) 日本地質学会学術大会講演要旨, 141. Leinfelder and Schmid (2002) Phanerozoic reef pattern. SEPM Special publication 72, 465-520. 榊原正幸他 (1993) 地質学雑誌99, 615-627.
石灰岩は,玄武岩質凝灰岩や泥岩中に囲まれた数10cm〜数10m規模のブロックとして産出する.礁性石灰岩は,主要な造礁生物を基に,(a) 紅藻類−層孔虫,(b) 六射サンゴ−層孔虫,(c) 層孔虫−微生物類の各boundstoneが識別される.(a) 紅藻類−層孔虫boundstoneでは,紅藻類 (solenoporaceans) や層孔虫,六射サンゴの造礁骨格生物が40〜50% (面積比率) を占める.被殻微生物類のLithocodiumやBacinella, Girvanella, Iberopora が3〜15%を占有し,それらが,礁の枠組み表面や枠組み間を充填する.Bacinellaは特に紅藻類の成長中断面や周縁部に発達し,穿孔する場合が認められる.枠組み間は,ウミユリや二枚貝などの生砕物やコートイド,ウーイドを含むgrainstoneが充填する.(b) 六射サンゴ−層孔虫boundstoneでは,六射サンゴや層孔虫が主要な枠組み構築者で40〜60%を占有する.1〜2mmの厚さの層状層孔虫と被覆微生物類が繰り返し累積することでboundstoneを形成する場合も認められる.(c) 層孔虫−微生物類boundstoneでは,造礁骨格生物は,10〜15%と少ないものの,LithocodiumやBacinellaの他に,フィラメ ントや球状微生物を散点的に含むペロイド状粒子が40%程度を占有し,それらが,枠組み表面でドーム状に発達したり,枠組み間を充填する.
(a) や (b) タイプのboundstoneは,生砕物やウーイドを含むgrainstone中に発達する.造礁骨格生物の割合が高く,被覆微生物類が二次的に補強することで,水流エネルギーの高い浅海環境下で,強固な枠組みを備えた礁を発達させた. solempporaceansが豊富な上部ジュラ系礁の例は少ないものの,本研究と同様の高エネルギー環境からの報告がある (Dupraz and Strasser, 1999). 一方,(c) タイプのboundstoneは,微生物の代謝起源や生砕物の細粒子化に起源するペロイド状粒子を豊富に含んでおり,(a) や (b) タイプより水流エネルギーの低い浅海環境下で発達した.今後さらに詳しく,同時代に発達した礁の生物相とも比較することで,当時の海山頂に特異な礁生態系の特性を明らかにしていく.
(引用文献)
Dupraz and Strasser (1999) Facies 40, 101-130. 川村寿郎他 (1995) 日本地質学会学術大会講演要旨, 141. Leinfelder and Schmid (2002) Phanerozoic reef pattern. SEPM Special publication 72, 465-520. 榊原正幸他 (1993) 地質学雑誌99, 615-627.
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