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[T14-P-1]Distribution and formation process of sedimentary facies around the outer shelf of the northern East China Sea during the middle to late Holocene

*Keita SAITO1 (1. Japan Coast Guard)
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Keywords:

East China Sea,Holocene,sedimentary process

完新世の東シナ海北部陸棚外縁部から沖縄トラフにかけての堆積物については,男女海盆南方を中心とする沖縄トラフ内と済州島南西方の”mud patch”等と呼ばれる泥の割合が高い海域において,発達史等の詳細な研究がなされている.一方,その間に位置する陸棚外縁部から沖縄トラフ西側斜面にかけての堆積物については,表層堆積物の粒径や構成粒子などが示されているものの,海進が終わった7ka以降の堆積相やその形成作用については明らかにされていない.本発表では,海上保安庁が同海域から採取した表層・柱状堆積物および周辺のサブボトムプロファイラーの記録に基づき,中期~後期完新世の陸棚外縁部における堆積相の分布と形成過程について述べる.海底表層の堆積物の粒度分布は西側でシルトと細粒砂のバイモーダルを示す一方,シェルフエッジに相当する東側では極細粒砂から細粒砂でピークが一つのみで淘汰がよいという特徴がみられた,他方,男女群島に近い北側(水深>120m)においては中粒砂の割合10%程度と相対的に高いことが特徴であった.また,これらの粒度分布の特徴などを基に,陸棚外縁部の堆積相は5つに区分された.次に,柱状堆積物から得られた浮遊性もしくは底生有孔虫の年代測定の結果に基づくと,(1)調査海域における高海水準期の堆積層がおよそ6ka以降に形成されたこと,(2)西側のシルト主体の地点のみならず,砂主体の地点においても年代の上下の逆転が少ないこと,(3)層厚は西側でやや厚く1m前後,東側や北側では50cm以下の地点が多く,陸棚内側や沖縄トラフに比べ堆積速度が非常に遅いことが示された.また,堆積物採取地点の近傍から得られた3.5kHzサブボトムプロファイラーの断面では,海底面直下には海退期もしくは海進期に堆積したと推定される層が広がっており,高海水準期の堆積層が最大でも1m程度であるという堆積物コアの結果と整合的であった.したがって,現在の東シナ海北部の陸棚外縁部では,広い範囲でごく遅い速度の堆積が起こっているという共通点はあるものの,粒径や粒子の種類については空間的な差異が大きい状態にあるということがいえる.

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