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[T16-O-16][Invited] Stratigraphy of Paleozoic pelagic deep-sea sedimentary rocks within the Jurassic accretionary complex of Japan

*Shun MUTO1 (1. Geological Survey of Japan, AIST)
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【ハイライト講演】日本列島を構成するジュラ紀付加体に含まれる深海堆積岩は,長期間にわたる地球史を解読する上で重要な研究試料である.これまでジュラ紀付加体中の中生界の層序を中心に生層序学的研究が行われてきたが,武藤俊氏は研究例の乏しい古生界に着目して,コノドント化石を基に国際的な対比を目指した層序復元に取り組まれている.本講演では,武藤氏が古生界遠洋性堆積岩について,現在東北日本で進めている最新の知見含め紹介していただく.(ハイライト講演とは...)

Keywords:

Carboniferous,Permian,chert,ocean floor basalt,conodont,radiolaria

日本列島のジュラ紀付加体中には,石炭紀からジュラ紀にかけて当時の超海洋パンサラッサの遠洋域深海底で堆積した,主にチャートからなる深海堆積岩が存在する.この堆積岩記録は,現在は沈み込んでしまって存在しない広大な古地理区の情報を保持するだけでなく,数千万年以上水深などの局所的な影響が小さい条件下で形成された,長期的に地球史を解読する上で優れた堆積記録である.また,海洋プレートが形成されてから沈み込み帯に至るまでの歴史を明らかにすることは,過去のプレート運動を制約する物質的証拠として重要である.我が国は,遠洋域深海堆積岩層について微化石を用いた層序復元で世界をリードしてきた.特に中生界(三畳系からジュラ系)の層序については犬山地域の木曽川沿いに見られる極めて良好な露頭で数多くの研究がなされ,放散虫化石層序における世界的な模式層序が構築された[1, 2].微化石層序により年代が与えられたことで,化学分析などにより得られた古環境に関する知見を地球史の時間軸上に位置付けることが可能になった [3–5].一方,古生界については石炭系とペルム系が存在することが1980年代には既に示された [6]ものの,犬山地域のような好露出地がないこともあり中生界と比べて層序復元が進んでいない.特に,石炭紀からペルム紀の示準化石として広く使われるコノドント化石の分類学・生層序学が大きく進展した2000年代以降の研究が少ないことが,地質年代の検討を阻んでいる.この状況を受け,講演者はこれまで東北日本ジュラ紀付加体中の石炭紀からペルム紀の深海堆積岩層について,最新の分類体系に基づくコノドント化石層序を検討し,世界の他地域と対比できる層序記録の確立を目標に研究を行ってきた.本講演では,東北日本における講演者の研究を紹介するとともに以前の知見をまとめ,古生界遠洋域深海堆積岩について下記の主な点を含めた現在の理解を整理したい.
 古生界遠洋深海堆積岩の基底には中央海嶺玄武岩が存在するはずであり,実際にこれに相当する岩石はよく知られている.この基底の年代について,講演者は最近玄武岩中にノジュール状に含まれるチャートから産出したコノドント化石を基に,石炭紀後期BashkirianないしMoscovianであることを示した.これに対し先行研究で確認されているチャートの最も古い層準は,より古い石炭系下部である地域もある一方で,より若いCisuralian(下部ペルム系)Sakmarianとされた地域もある.各地の玄武岩類自体の地球化学的分析による形成場の特定が待たれるが,ジュラ紀付加体に取り込まれた海洋プレートの形成年代には最大で4000万年程度のスパンがある可能性がある.古生界の遠洋域深海堆積岩層は,中生界と同様に大部分がチャートからなるが,石炭系上部からペルム系最下部にかけて赤色あるいは緑色の粘土岩やドロストーン層が挟在する場合がある.これらは一部では玄武岩類を伴っており,海山などの玄武岩や炭酸塩からなる海底地形の高まりから局所的にもたらされた堆積物だと考えられる.古生界遠洋域深海堆積岩層の下部には赤色チャートが見られる場合がある.その上位には灰色チャートが累重するが,色調が変化する層準は多くの場合Cisuralianにある一方、Guadalupian(中部ペルム系)上部やLopingian(上部ペルム系)にまで赤色チャートが見られる場合もある.赤色から灰色へのチャートの色調変化は全球的な海洋貧酸素化で説明されているが[3],岩相層序からは明確な関連があるとは言い切れない状況にある.
文献 [1] A. Yao, T. Matsuda, Y. Isozaki, J. Geosci. Osaka City Univ. 23, 135–154 (1980). [2] K. Sugiyama, Bull. Mizunami Fossil Mus., 24, 79–193 (1997) [3] Y. Isozaki, Science. 276, 235–238 (1997). [4] S. Takahashi, S. Yamakita, N. Suzuki, K. Kaiho, M. Ehiro, Palaeogeogr. Palaeoclimatol. Palaeoecol. 271, 1–12 (2009). [5] H. Sato, T. Onoue, T. Nozaki, K. Suzuki, Nat. Comm., 4, 2455 (2013). [6] H. Ishiga, Earth Sci. J. Assoc. Geol. Collab. Japan. 36, 333–339 (1982).

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