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[T16-O-19]Middle Triassic radiolarian and conodont biostratigraphy and chemostratigraphy in the bedded chert of the Mino and Northern Kitakami belts, Japan

*Takuma SHIOHARA1,3, Tetsuji ONOUE2, Shun MUTO3 (1. Department of Earth and Planetary Sciences, Graduate School of Science, Kyushu University, 2. Department of Earth and Planetary Sciences, Faculty of Science, Kyushu University, 3. Geological Survey of Japan, AIST)
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Keywords:

Triassic,Radiolarian,Conodont,Ladinian,Anisian

中期三畳紀は安定した乾燥気候が低~中緯度の大陸内陸部に広がっていたと考えられてきたが, テチス海沿岸の一部地域からは, 後期アニシアン(ペルソニアン)と後期ラディニアン(ロンゴバルディアン)に, 湿潤化したことを示す地質記録が残されていることが明らかになってきた. そして, これらの時代には, 放散虫やコノドントといった中期三畳紀の主要な遠洋性・外洋性生物が急激に多様化したことも報告されている. 中期三畳紀の湿潤化と遠洋性・外洋性生物の多様化は関連したイベントであった可能性があるが, これらの報告はヨーロッパの限られた陸棚堆積物を対象としており, 両者の関連性については明らかにされていない. このような環境変動とそれに伴う生物の多様化の時空間的規模を判断するためには, 当時の超海洋であるパンサラッサ海が同時期にどのような環境であったかを知る必要がある.
そこで本研究では, 中期三畳紀のパンサラッサ海遠洋域における古海洋環境を調べるために, 美濃帯と北部北上帯の中部三畳系層状チャートを対象に放散虫・コノドント化石層序, 化学層序を検討した. 検討セクションは, 岐阜県坂祝地域に分布する美濃帯の中部三畳系層状チャート(セクションO:Sugiyama, 1997)及び, 岩手県安家地域に分布する北部北上帯の中部三畳系層状チャート(折壁川セクション:本研究で新たに報告)である.
本研究の結果,美濃帯のセクションOからは先行研究(Sugiyama, 1997; Nozaki et al., 2019)により認識されたTR-2C帯(Triassocampe deweveri帯)からTR-5A帯(Capnuchosphaera帯)までの6つの放散虫化石帯を再現し,化石帯境界の位置制約を高めた. これらの放散虫化石帯は,後期アニシアンから前期カーニアンに比較されていたが, 本研究で得られたコノドント化石によりこれが支持され, 正確な地質年代の対比が可能になった. また, ファッサニアンから産出する放散虫10種のうち, ロンゴバルディアン以降にも産出する種は3種のみであり, 放散虫化石群集の変化が確認された. 岩相層序においては,この放散虫群集の変化は, セクションの基底から10.5 mに位置する厚い頁岩層(4 cm厚)付近で発生した. この頁岩層を境にして, Muelleritortis noblisからMuelleritortis cochleataへの棘(spine)の形態変化および, Tritortis integritaからTritortis kretaensisへの形態変化が特徴的にみられた. また, 北部北上帯の折壁川セクションでは, Paragondolella bulgarica groupやParagondolella foliataといったコノドントが産出し, アニシアンからラディニアンまでの露頭が存在することが明らかになった.
セクションOにおいて詳細な化学層序を検討した結果, 調査区間では顕著な海洋酸化還元状態の変化は見られなかった. 一方で, コノドントや魚類などの海洋性脊椎動物に由来すると考えられる生物起源アパタイトの含有量が, ファッサニアン/ロンゴバルディアン境界で増加する傾向が認められた. さらに, CIA(Chemical Index of Alteration; Nesbitt et al., 1982)やW, RW(Ohta and Arai, 2007; Cho and Ohta, 2022)などの大陸風化指標は, 後背地の化学風化が後期ラディニアンで強化傾向に変化したことを示唆する. 以上の結果は, ロンゴバルディアンに始まった湿潤化イベントが, パンサラッサ海の海洋性脊椎動物の生産性の増加と放散虫の群集変化のきっかけとなった可能性を示唆する.
今後は, 北部北上帯の折壁川セクションにおいて化石層序, 化学層序の構築を進めることで, 美濃帯の中部三畳系でみられた湿潤化や放散虫群集変化の層序記録の広域性を検証する予定である.

引用文献
・Cho, T., Ohta, T., 2022, Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 608
・Nesbitt, H.W., Young, G.M., 1982, Nature, 299, 715-717
・Nozaki, T., Nikaido, T,. Onoue, T., Takaya, Y., Sato, K., Kimura, J., Chang, Q., Yamashita, D., Sato, H., Suzuki, k., Kato, Y., Matsuoka, A., 2019, Journal of Asian Earth Sciences: X, 1
・Ohta, T., Arai, H., 2007, Chemical Geology, 240, 280-297
・Sugiyama, K., 1997, Mizunami Fossil Mus., 24, 79-193

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