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[G2-O-6]Appearance trends and characteristics of diatoms in sediments off the Fujikawa River, Suruga Bay, Japan

*Mei Ikeda1, Izumi Sakamoto1, Yuka Yokoyama1 (1. Tokai Univ.)
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Keywords:

Suruga Bay,Fujikawa River,diatom

駿河湾は,南北約60 km,東西約56 km,最大水深は約2,500 mと日本で最も深い湾である.駿河湾奥部には,一級河川である富士川が流入しており,土砂を含む河川水を駿河湾に供給していると考えられる.2018年に発生した台風24号により起こった富士川洪水により,河口沖への洪水起源堆積物の供給と混濁流が発生したと考えられる (馬塲ほか,2021).また,2022年9月の台風15号通過後に2022年8月に設置された混濁流観測装置(TCD)が設置地点(水深1312 m)から南に約2.8kmの地点(水深約1421 m)へ移動したと報告されている(中村ほか,2023).海洋地質研究室では,富士川が駿河湾へ与える影響とその堆積過程の解明のため,沿岸域から深海域までの16ヶ所の定点で2021年から梅雨前後,台風後の計3回の採泥調査を行っている. 調査には東海大学所有の大型調査船望星丸(約2000トン),小型調査船北斗・南十字(約19トン)を用い,スミスマッキンタイヤ式グラブ採泥器を使用し,堆積物の採取を行った.本研究ではTCDの移動に対応する水深約1350 m,400 m,1450 m,1500 mの地点で,2022年9月から2023年12月の間に採取された表層堆積物の珪藻分析を行った.加えて,その比較として駿河湾央部(水深約1700 m)・湾口部(水深約2700 m)から採取した表層堆積物の分析結果も報告する. 珪藻分析の結果,産出した珪藻種としては,海水生種では浮遊性種のThalassionema mitzschioides,Thalassiothrix frauenfeldii GrunowThalassiosira lineata Jouesの3種類が全ての地点で確認できた.特にThalassionema nitzschioidesはほとんどの地点で優占的に産出したが,水深約1400 m地点においてのみ優占種がThalassiothrix frauenfeldii Grunowになるという変化がみられた.淡水生種では,Melosira variansCocconeis placentulaAchnanthes lanceolataなどがすべての地点で確認できたが,その個体数に大きな変化は見られなかった.また,湾奥部から湾口部では,それぞれ海水生種の割合が62.5%,82.0%と,海水生種の割合が増加した.海水生種では湾奥部でも優占的に見られた特に湾口部ではPlanktoniella sol (Wallich) Schuttが他地点より多く確認できた.各観測点での季節変化を見ると,水深約1350 m地点では,海水生種は2023年5月で70.0%,8月で58.5%,12月で55.5%と減少したが,いずれの月でも海水生種が優勢となった.水深約1400 m地点では海水生種の割合が2022年9月では77.0%,2022年11月は83.0%,2023年6月は72.0%,2023年8月は65.0%,2023年12月では63.0%と海水生種が高い傾向を示した.水深約1450 m地点における海水生種の割合は,2022年10月では47.0%,2023年3月では29.0%,2023年5月では32.0%,2023年8月では36.0%,2023年12月では52.5%,そして水深約1500 m地点では2023年12月で43.0%と,富士川河口から最も離れている観測点で海水生種の割合が低いという結果を示した. 水深約1450 m,1500 m地点において海水生種の割合が少ないことは,駿河湾奥部の後方散乱強度図の様子から,富士川,三保沖海底谷,伊豆沖海底谷の流れの合流地点であり,そのため河川性の堆積物が堆積している場であるため淡水生種の割合が高くなっていると推測した.また,駿河湾では,黒潮と河川水流入の影響により湾口から西湾奥にかけて反時計回りの表層循環が存在し,その循環により駿河湾内に流れ込む粒子は湾奥部へ集中することがKennmochi et al(2023)により示されている.その位置が淡水生種の割合が高くなる地点と近いことから,湾内の表層循環の影響を受けていることも考えられる.そのため,今後セジメントトラップを用い,海水中から供給される珪藻種の把握も必要と考えられる.また,湾央部から湾口部にかけて海水生種の割合が増加することから,湾口部に向かって河川の影響が少なくなることが明らかとなった.参考文献:馬塲ほか(2021)地震,73,197-207.中村ほか(2023)日本地質学会第130年学術大会(京都大学),T6-P-10.Kenmochi et al(2023)Journal of Oceanography,79.49-59

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