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[G2-O-8]Formation Model of Pockmarks: The Characteristic "Bending" Topography in the Shallow Methane Hydrate-bearing Area

*miho asada1, Ayumu Miyakawa1 (1. AIST)
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Keywords:

Pockmark,Shallow methane hydrate,Backscatter strength,Shallow sub-seafloor geological structure,Bending topography

表層型メタンハイドレート(MH)賦存域に特徴的なポックマーク形成モデルを提案する.単語「ポックマーク」はその成因を問わず海底に見られるすり鉢状の凹みを指す.その分布の報告や成因議論など多くの既存研究がある.表層型MH賦存域に発達するポックマークは従来言われてきた「海底下から海水中へ移動する流体が堆積物を持ち去って形成した凹み」ではないかもしれない.

丹後半島沖合の縁辺台地が隠岐トラフへ向けて突き出す高まりに,表層型MH賦存が確認された幾つかのマウンドとともに多数のポックマークがある.表層型MHは海底下およそ100 mまでの深さにあるMHを指す呼称であり,塊状・板状・粒状で発見されることがある。すなわち,MH自体が集積するという特徴が見られる点で,いわゆる「堆積物中の孔隙を充填するタイプ(砂層型MH)」とは異なる.表層型MHは隠岐トラフ中部〜西部や上越沖など日本周辺海域に賦存することが報告されており,丹後半島沖はその一部にあたる.2013年に丹後半島沖でAUV Deep1(深田サルベージ建設株式会社)を用いる音響マッピング(地形, 後方散乱強度, サブボトムプロファイル(SBP)データ取得)を実施した.音響マッピングに用いた信号の周波数はそれぞれ,地形調査と後方散乱強度調査に200 kHzと119–131 kHz, SBPに2–8 kHzである.ポックマークの直径は数十m〜500m程度でさまざまで, 深さは多くの場合に直径の数%程度である.マウンドは高まりを形成する尾根に沿ってあるが必ずしもポックマークを伴わない.ポックマークは斜面に広く分布していて,観測範囲内ではマウンドの数よりもポックマークの数が多い.一部のポックマークは直線上に並んでいるように見える.海底下の層構造はよく連続しており, ポックマーク直下で下方に撓んで見える.撓みと周囲の地層の連続が断たれている場合もある.地層がポックマーク直下で撓みながらよく連続することは,ポックマーク形成過程でその直下にある堆積物を排除するような流体の働きによらない(従来のポックマーク形成モデルと異なる)ことを示唆する.ポックマークの部分の後方散乱強度がおよそ周辺の海底と同程度であり,ROVを用いる海底観察でも流体排出場でよく見られる炭酸塩岩生成や殻を持つ独立栄養動物群衆の集積が少なくとも観測対象である現在のポックマーク底には見られない.SBPによる周辺の地層とポックマーク直下の地層との厚さを比較したところ, 周辺の地層厚さに比較して撓み部分の地層厚さが薄い(Case-A),厚い(Case-B),同程度(Case-C)である三種類に大別できた.ポックマーク直下にあたる撓み部分の層厚が周辺の地層厚さに対して薄い場合(Case-A)には, その層に含まれていたMHが消失したことで体積が減少したと考えた.厚い場合(Case-B)には, 凹みが海底面にあり,かつ撓みが成長した(動的に変形した)ときに海底面が不安定となり堆積物が移動した(凹みの内部で増加した)と考えた.これをシミュレーションで再現した. 

MHは低温高圧条件下で安定であり,安定条件から外れる場合に分解する.メタンに飽和していない海水中または間隙水中でも分解する.塊状の表層型MHが海底面付近で擾乱を受けた場合には,MHの比重が海水よりも小さいことから,塊ごと海中に放出されることも考えられる.

海底下でMHが分解した場合に発生する流体は流れやすい方へ移動するだろう.SBPが示した海底下浅部構造は,ポックマーク直下に地層がよく連続する撓みを示したが,撓みの周辺に地層の不連続を示した場合があった.すなわち地層の変位量が大きな場合には断裂が発生するし,引張場で断裂は流路として機能するだろう.流体は,亀裂が発生していれば撓みの縁に沿って上方へ,地層中を流動することができればより高い方へ(背斜構造に沿い尾根のほうへ)移動し,新たにMH安定条件下に入った場所で新しいMHにリサイクルされるだろう.砂層型とは異なりMHそのものが集積する傾向にある表層型MHは,塊状MHが消失した場合には,孔隙を充填するタイプではないためにボリュームを支える堆積物が存在しないので空洞が発生し,上位にある堆積物が変形して撓みを形成するだろう.この時に撓みが海底面まで影響すれば動的に変形する斜面が発生し,海底面上の堆積物が移動するだろう.これら一連の考察は一般的なポックマークの形成モデルとは異なる概念を提案するだけでなく,表層型MHの形成−消失史と流体リサイクルの考え方を提案し,表層型MH賦存場所推定に寄与する可能性を含むものである. 

本研究は経済産業省によるメタンハイドレートの研究開発事業の一部として実施された.

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