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[T2-P-4]Construction of an age-depth model for a giant piston core collected in the Indian sector of the Southern Ocean: Toward understanding the Antarctic Circumpolar Current

*Hiroki MATSUI1, Megumi Hirayama1, Xavier Crosta2, Minoru Ikehara3 (1. Graduate School of International Resource Sciences, Akita University, 2. University of Bordeaux, France, 3. Marine Core Research Institute, Kochi University)
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Keywords:

Southern Ocean,Antarctic Circumpolar Current,age-depth model,giant piston core

南極大陸を時計回りに一周する南極周極流は,全球の海洋循環や炭素循環に大きな役割を果たしており,南極氷床の安定性にも影響を及ぼす.また,過去数十年間の南極周極流の流路は,南大洋の3つの区域(大西洋区,インド洋区,太平洋区)でそれぞれ異なる変化を示しており,広域的な南極周極流の挙動の把握が重要である.一方,過去100万年間を超える長期的な南極周極流の挙動について,南大洋大西洋区や太平洋区では明らかにされてきたが,南大洋インド洋区では未だ長期的な記録が得られていない.本研究では,2019年にフランスのマリオン・デュフレーヌ号で採取された長尺ピストンコア試料を用いて,詳細な年代モデルを構築し,南極周極流の挙動の解明に資することを目的とする.試料地点MD19-3576は現在の南極周極流の流路に位置しており,コア試料の全長は約57 mである.岩相は石灰質軟泥と珪質軟泥の互層を示し,氷期間氷期に応答している可能性がある.船上においてコア試料の明度と底生有孔虫酸素同位体比LR04スタック(Lisiecki and Raymo, 2005, Paleoceanography)の対比が行われ,過去約150万年間を記録した堆積物と推定された.
今回,MD19-3576コアの計467試料について底生有孔虫化石Melonis pompilioidesを抽出し,高知大学海洋コア国際研究所で炭素・酸素安定同位体比を測定した.測定結果について,LR04スタックと改めて精密な対比を実施した.対比の結果,想定された過去150万年間ではなく,過去110万年間を記録した堆積物であることが判明した.コア上部で堆積構造が乱れている区間(約36〜20万年前)を除いて,連続的に堆積したと考えられる.平均堆積速度は約110〜52万年前について7.8 cm/kyr,約52〜0万年前について1.5 cm/kyrであった.特にマット状の珪藻が産出する区間において,堆積速度が非常に速い(約10 cm/kyr)傾向が認められた.本研究で構築した酸素同位体比変動曲線とLR04スタックとの差異はわずかであるが,約90万年前の氷期に有意なずれが認められた.LR04スタックには大西洋の記録が多く含まれており,南大洋インド洋区の酸素同位体比変動を捉えられていない可能性がある.むしろ,本研究の酸素同位体比変動は南大洋太平洋区の記録(Elderfield et al., 2012, Science)と類似しており,約90万年前の氷期におけるインド洋区と太平洋区の共通性が明らかになった.
今後,MD19-3576コアの浮遊性有孔虫化石群集の解析を進め,過去110万年間の南極周極流の流路を詳細に復元する予定である.とりわけマット状珪藻の産出に基づく南大洋大西洋区の南極周極流の流路復元(Kemp et al., 2010, Quat. Sci. Rev.)と比較し,周極流の南北移動が南大洋インド洋区と大西洋区で同調していたかを明らかにする.さらに,堆積物の粒径変化に基づく南大洋太平洋区の南極周極流の流速復元(Lamy et al., 2024, Nature)と比較し,流路の南北移動と流速の強弱の関係について考察する.

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