Presentation Information
[T2-P-8]Occurrence and petrography of mafic to felsic dykes in Austhovde, Lützow-Holm Complex, East Antarctica.
*Tomoharu Miyamoto1, Daniel J. Dunkley2, Toshiaki Tsunogae3, Mutsuumi Kato4 (1. Kyushu University, 2. Polish Academy of Sciences), 3. University of Tsukuba, 4. Nittetsu Mining Consulting)
Keywords:
Timing of intrusion,Ultrapotassic,Lutzou-Holm Complex
東南極Dronning-Maud Landに位置するLützow-Holm Complex (LHC)は、Rayner 岩体の西、Yamato-Belgica岩体の東に位置する、高温変成岩を主とする岩体である。変成度は北東部の角閃岩相より南西部のグラニュライト相まで推移し、Rundvågshettaにて変成度のピークを迎える(Hiroi et al., 1991)。
アウストホブデはRundvågshettaの西北西50kmに位置するLHC西部の露岩である。主に北岩・中岩・南岩の3露岩から構成され、Hiroi et al. (1991)によるグラニュライト相ゾーンの西部に位置する。変成構造は、北岩・中岩が東西走向で南傾斜、南岩は南北走向で西傾斜を示す。主要構成岩は輝石角閃石片麻岩、黒雲母角閃石片麻岩、角閃岩および苦鉄質〜超超苦鉄質グラニュライト、黒雲母片麻岩、ザクロ石-黒雲母片麻岩、大理石およびスカルン、珪岩および珪質ザクロ石片麻岩、片麻状花崗岩である(Shiraishi and Yoshida, 1987)。Tsunogae et al. (2016)は、アウストホブデの変成斑れい岩について579 MaのU-Pb zircon年代を報告し、変成作用時の新規成長の結果と考察した。Takahashi et al. (2018)は、黒雲母片麻岩について2505〜627 MaのU-Pb zircon年代と、チャーノッカイトについて606±7Maと551±7MaのU-Pb zircon年代を報告し、Archean以降の物質が供給され、最後は550 Ma前後に変成作用を被った履歴を報告した。その結果を基に、Dunkley et al. (2020)はアウストホブデをRundvågshetta Suite (RVG)に分類した。
LHCには変成作用と同時期もしくはその後に貫入した様々な火成岩も点在する。アウストホブデにも主要な変成構造と斜交して貫入する苦鉄質〜珪長質岩脈が中岩と南岩にて見いだされた。それらは中岩と南岩とで外観が異なり、中岩の岩脈は苦鉄質で優黒色であり、NE-SW方向に急傾斜で貫入していた。完晶質で、構成鉱物は石英・カリ長石・斜長石・黒雲母・角閃石・燐灰石で、少量のチタン石・単斜輝石・ジルコン・磁鉄鉱をともなった。黒雲母は概ね定向配列する傾向があり、自形の黒雲母が角閃石に囲まれて産することもあった。一方、南岩に産する岩脈は中性〜珪長質で優白色であり、NW-SE方向に20〜40度SW傾斜で、あるいはNE-SW方向に緩傾斜で貫入することが多かった。完晶質でカリ長石・石英・斜長石の基質の中を0.5〜1mm大の単斜輝石が産し、副成分鉱物としてチタン石・ジルコン・磁鉄鉱をともなった。少量の角閃石、まれに黒雲母を伴う試料もあった。基質にはミルメカイトが産することもあった。化学組成としてはアルカリ岩に大別され、いずれもK2O含有量が高かった。Total alkali-SiO2図では、中岩に産する苦鉄質岩はBasaltic trachyandesite的でMgO=5.1〜5.7wt.%を示すのに対し、南岩に産する中性〜珪長質岩の組成はTrachyandesite〜Trachyte的でMgO=1.0〜3.6wt.%の範囲の組成を示した。その一方で、Primitive mantleで規格化したSpider図では、共通して右下がりの傾向を示すとともに、Ba・Pbに正のスパイクとNb・Sr・Tiに弱い谷が認められた。微量元素の特徴における共通性は、これらの岩脈が一連の活動で貫入した可能性を示す。その活動において、Nb・Tiの負のスパイクはマグマにおける水の影響(含水マグマにおけるTi含有鉱物の結晶化とその分別)、Srの負のスパイクは斜長石の分別、一方、Ba・Pbの正のスパイクについては地殻物質の付加の影響が考えられる。島弧的環境で苦鉄質マグマが活動し、結晶分化したとともに一連の活動の中で地殻物質を同化した履歴を示す可能性がある。 参考文献Dunkley et al. (2020): Polar Science, 26, 100605. Hiroi et al. (1991): Geological Evolution of Antarctica: Cambridge, Cambridge University Press. Shiraishi and Yoshida (1987): Geological map of Botnneset, Antarctica. NIPR. Takahashi et al. (2018): J. Asian Earth Sci., 157. Tsunogae et al. (2016): Lithos, 263.
アウストホブデはRundvågshettaの西北西50kmに位置するLHC西部の露岩である。主に北岩・中岩・南岩の3露岩から構成され、Hiroi et al. (1991)によるグラニュライト相ゾーンの西部に位置する。変成構造は、北岩・中岩が東西走向で南傾斜、南岩は南北走向で西傾斜を示す。主要構成岩は輝石角閃石片麻岩、黒雲母角閃石片麻岩、角閃岩および苦鉄質〜超超苦鉄質グラニュライト、黒雲母片麻岩、ザクロ石-黒雲母片麻岩、大理石およびスカルン、珪岩および珪質ザクロ石片麻岩、片麻状花崗岩である(Shiraishi and Yoshida, 1987)。Tsunogae et al. (2016)は、アウストホブデの変成斑れい岩について579 MaのU-Pb zircon年代を報告し、変成作用時の新規成長の結果と考察した。Takahashi et al. (2018)は、黒雲母片麻岩について2505〜627 MaのU-Pb zircon年代と、チャーノッカイトについて606±7Maと551±7MaのU-Pb zircon年代を報告し、Archean以降の物質が供給され、最後は550 Ma前後に変成作用を被った履歴を報告した。その結果を基に、Dunkley et al. (2020)はアウストホブデをRundvågshetta Suite (RVG)に分類した。
LHCには変成作用と同時期もしくはその後に貫入した様々な火成岩も点在する。アウストホブデにも主要な変成構造と斜交して貫入する苦鉄質〜珪長質岩脈が中岩と南岩にて見いだされた。それらは中岩と南岩とで外観が異なり、中岩の岩脈は苦鉄質で優黒色であり、NE-SW方向に急傾斜で貫入していた。完晶質で、構成鉱物は石英・カリ長石・斜長石・黒雲母・角閃石・燐灰石で、少量のチタン石・単斜輝石・ジルコン・磁鉄鉱をともなった。黒雲母は概ね定向配列する傾向があり、自形の黒雲母が角閃石に囲まれて産することもあった。一方、南岩に産する岩脈は中性〜珪長質で優白色であり、NW-SE方向に20〜40度SW傾斜で、あるいはNE-SW方向に緩傾斜で貫入することが多かった。完晶質でカリ長石・石英・斜長石の基質の中を0.5〜1mm大の単斜輝石が産し、副成分鉱物としてチタン石・ジルコン・磁鉄鉱をともなった。少量の角閃石、まれに黒雲母を伴う試料もあった。基質にはミルメカイトが産することもあった。化学組成としてはアルカリ岩に大別され、いずれもK2O含有量が高かった。Total alkali-SiO2図では、中岩に産する苦鉄質岩はBasaltic trachyandesite的でMgO=5.1〜5.7wt.%を示すのに対し、南岩に産する中性〜珪長質岩の組成はTrachyandesite〜Trachyte的でMgO=1.0〜3.6wt.%の範囲の組成を示した。その一方で、Primitive mantleで規格化したSpider図では、共通して右下がりの傾向を示すとともに、Ba・Pbに正のスパイクとNb・Sr・Tiに弱い谷が認められた。微量元素の特徴における共通性は、これらの岩脈が一連の活動で貫入した可能性を示す。その活動において、Nb・Tiの負のスパイクはマグマにおける水の影響(含水マグマにおけるTi含有鉱物の結晶化とその分別)、Srの負のスパイクは斜長石の分別、一方、Ba・Pbの正のスパイクについては地殻物質の付加の影響が考えられる。島弧的環境で苦鉄質マグマが活動し、結晶分化したとともに一連の活動の中で地殻物質を同化した履歴を示す可能性がある。 参考文献Dunkley et al. (2020): Polar Science, 26, 100605. Hiroi et al. (1991): Geological Evolution of Antarctica: Cambridge, Cambridge University Press. Shiraishi and Yoshida (1987): Geological map of Botnneset, Antarctica. NIPR. Takahashi et al. (2018): J. Asian Earth Sci., 157. Tsunogae et al. (2016): Lithos, 263.
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