Presentation Information
[T2-P-11]Preliminary report of zircon U-Pb dating of pelitic gneiss from Mefjell, Sør Rondane Mountains, East Antarctica
*Miku NAKANO1, Fumiko HIGASHINO1, Tetsuo KAWAKAMI1, Shumpei KUDO1, Tatsuro ADACHI2, Sota NIKI3, Masaoki UNO4, Cheolwoo KIM1, Takahumi HIRATA5 (1. Graduate School of Science, Kyoto University, 2. Graduate School of faculty of Social and Cultural Studies, Kyushu University, 3. Institute for Space-Earth Environmental Research, Nagoya University, 4. Graduate School of Environmental Studies, Tohoku University, 5. Geochemical Research Center, Graduate School of Science, The University of Tokyo)
Keywords:
Sør Rondane Mountains,zircon,REE,garnet
東南極セール・ロンダーネ山地は、東アフリカ造山帯 (750-620 Ma)とクンガ造山帯 (580-530 Ma)が見かけ上交差する場所に位置するとされ [1]、この地域の変成岩類の温度-圧力-時間-変形履歴を読み解くことは、ゴンドワナ超大陸の形成プロセスを理解する上で重要である。同山地は、主にグラニュライト相の変成岩からなり、時計回りの温度-圧力-時間(P-T-t) 履歴を示す北東テレーンと、より低変成度の変成岩からなり、反時計回りのP-T-t 履歴を示す南西テレーンに分けられる [2]。両テレーンは、分離されたジルコン粒子を用いたU-Pb年代測定から650-600 Maにピーク変成作用、590-530 Maに紅柱石安定領域の後退変成作用を被ったと考えられており [2]、同山地においてジルコンやモナズ石の化学組成を考慮し、他の変成鉱物との共存関係を調べた先行研究は限られている [e.g., 3]。
同山地中央部に位置するメーフィエルは南西テレーンに属するが、時計回りのヘアピン型P-T-t 履歴が報告された [4]。[5] は、メーフィエルで採取された珪線石―黒雲母-ザクロ石片麻岩中のザクロ石の包有物に対し、Zr-in-Rt地質温度計 [6] を適用して時計回りのP-T 履歴を構築した。また、[4] はマトリクスに産するモナズ石の電子線マイクロプローブU-Th-Pb 年代(EPMAモナズ石年代)測定により、700-540 Maを変成ピークの年代と報告したが、モナズ石の化学組成が考慮されておらず、ザクロ石とモナズ石の平衡関係が議論されていない。そこで [7] は [5] と同試料に対してEPMAモナズ石年代測定を実施し、モナズ石の産状とY濃度を考慮した結果、約650 Maにザクロ石とモナズ石が平衡共存し、約550 Maにはザクロ石と非平衡状態になったと解釈した。本研究では、同試料中のジルコンに対して予察的にLA-ICP-MSを用いた局所U-Pb年代および微量元素の同時測定を行った。
本試料のザクロ石には、ザクロ石中の拡散が遅いPで不連続な組成累帯構造が存在し、内側からP濃度が低いインナーコア、P濃度が高いアウターコア、P濃度が低いマントル、P濃度がやや高いリムに分けられる [5]。ジルコンはマトリクスに産するほか、ザクロ石、黒雲母、珪線石、白雲母、石英の包有物として産する。
本試料に含まれるジルコンの内部組織は、インヘリテッドコア、変成コア、変成リムに区分できる。変成コアはCL像で振動累帯構造を示し、石英、珪線石、カリ長石、黒雲母、燐灰石、石墨を包有する。一方、変成リムはCL像で暗いものも明るいものも見られ、珪線石、カリ長石、ルチルを包有する。
変成コア・リムは1点を除きいずれもYbn/Gdn比が0.25-3.6のグループと20-50のグループの2つに分けられる。Ybn/Gdn比が小さいグループの変成コア・リムはそれぞれ637±41 Ma (n=3; MSWD=1.8; Th/U<0.16)、562±8 Ma (n=7; MSWD=1.14; Th/U<0.02)の238U-206Pb加重平均年代(±2σ)を示す。Ybn/Gdn比が大きいグループの変成コアは628±27 Ma (n=5; MSWD=4.0; Th/U<0.02)、変成リムは567±16 Ma (n=2; MSWD=0.032; Th/U<0.03)の238U-206Pb加重平均年代を示す。このうち、ザクロ石リムに包有される変成リムが566±21 Ma (n=1, Ybn/Gdn=28) を示すため、現在みられるザクロ石リムは566±21 Ma以降に形成された可能性がある。
ジルコンがザクロ石と平衡共存したか否かは、両鉱物間のHREEの分配係数から検証可能とされる [8]。本試料のジルコンは、上述のように2つの年代幅において高低両方のYbn/Gdn比が見られるため、ザクロ石のHREE組成と併せて両鉱物間の平衡関係を精査することで、詳細な変成履歴の構築につながるだろう。
引用文献
[1] Meert 2003 Tectonophysics [2] Osanai et al. 2013 Precam. Res. [3] Higashino et al. 2023 Gondwana Res. [4] Tsubokawa et al. 2017 JMPS [5] Nakano et al. 2023 JpGU abst. [6] Tomkins et al. 2007 JMG [7] Nakano et al. 2024 JpGU abst. [8] Taylor et al. 2017 JMG
同山地中央部に位置するメーフィエルは南西テレーンに属するが、時計回りのヘアピン型P-T-t 履歴が報告された [4]。[5] は、メーフィエルで採取された珪線石―黒雲母-ザクロ石片麻岩中のザクロ石の包有物に対し、Zr-in-Rt地質温度計 [6] を適用して時計回りのP-T 履歴を構築した。また、[4] はマトリクスに産するモナズ石の電子線マイクロプローブU-Th-Pb 年代(EPMAモナズ石年代)測定により、700-540 Maを変成ピークの年代と報告したが、モナズ石の化学組成が考慮されておらず、ザクロ石とモナズ石の平衡関係が議論されていない。そこで [7] は [5] と同試料に対してEPMAモナズ石年代測定を実施し、モナズ石の産状とY濃度を考慮した結果、約650 Maにザクロ石とモナズ石が平衡共存し、約550 Maにはザクロ石と非平衡状態になったと解釈した。本研究では、同試料中のジルコンに対して予察的にLA-ICP-MSを用いた局所U-Pb年代および微量元素の同時測定を行った。
本試料のザクロ石には、ザクロ石中の拡散が遅いPで不連続な組成累帯構造が存在し、内側からP濃度が低いインナーコア、P濃度が高いアウターコア、P濃度が低いマントル、P濃度がやや高いリムに分けられる [5]。ジルコンはマトリクスに産するほか、ザクロ石、黒雲母、珪線石、白雲母、石英の包有物として産する。
本試料に含まれるジルコンの内部組織は、インヘリテッドコア、変成コア、変成リムに区分できる。変成コアはCL像で振動累帯構造を示し、石英、珪線石、カリ長石、黒雲母、燐灰石、石墨を包有する。一方、変成リムはCL像で暗いものも明るいものも見られ、珪線石、カリ長石、ルチルを包有する。
変成コア・リムは1点を除きいずれもYbn/Gdn比が0.25-3.6のグループと20-50のグループの2つに分けられる。Ybn/Gdn比が小さいグループの変成コア・リムはそれぞれ637±41 Ma (n=3; MSWD=1.8; Th/U<0.16)、562±8 Ma (n=7; MSWD=1.14; Th/U<0.02)の238U-206Pb加重平均年代(±2σ)を示す。Ybn/Gdn比が大きいグループの変成コアは628±27 Ma (n=5; MSWD=4.0; Th/U<0.02)、変成リムは567±16 Ma (n=2; MSWD=0.032; Th/U<0.03)の238U-206Pb加重平均年代を示す。このうち、ザクロ石リムに包有される変成リムが566±21 Ma (n=1, Ybn/Gdn=28) を示すため、現在みられるザクロ石リムは566±21 Ma以降に形成された可能性がある。
ジルコンがザクロ石と平衡共存したか否かは、両鉱物間のHREEの分配係数から検証可能とされる [8]。本試料のジルコンは、上述のように2つの年代幅において高低両方のYbn/Gdn比が見られるため、ザクロ石のHREE組成と併せて両鉱物間の平衡関係を精査することで、詳細な変成履歴の構築につながるだろう。
引用文献
[1] Meert 2003 Tectonophysics [2] Osanai et al. 2013 Precam. Res. [3] Higashino et al. 2023 Gondwana Res. [4] Tsubokawa et al. 2017 JMPS [5] Nakano et al. 2023 JpGU abst. [6] Tomkins et al. 2007 JMG [7] Nakano et al. 2024 JpGU abst. [8] Taylor et al. 2017 JMG
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