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[T4-P-5]Research by Community Museum with 2024 Noto Peninsula Earthquake in Itoigawa City, Niigata Prefecture.

*Suzuka KOORIYAMA1, Takuma Katori1, Ko Takenouchi1, Yousuke Ibaraki1, Takahiko Ogawara1 (1. Fossa Magna Museum)
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Keywords:

Geopark,earthquake,museum

1 はじめに
新潟県糸魚川市は日本列島を東西に分断する大断層である糸魚川‐静岡構造線や国石ヒスイなど地質資源豊かな地域である。2009年には糸魚川市全域を日本で初めてジオパークに認定され、大地の遺産を生かした地域づくり活動を展開している。糸魚川ユネスコ世界ジオパークの中核拠点施設となるのがフォッサマグナミュージアムである。本博物館は「ヒスイと化石 日本列島の成り立ちがわかる博物館」をメインテーマとし、糸魚川の大地の成り立ち及び糸魚川で産出するヒスイの生成や日本列島の誕生をわかりやすく展示解説している。市営の博物館として地域に根差す「地域博物館」を開館当初から掲げ、フォッサマグナの成立や人間と地球史とのかかわりを示す資料を収集・保管展示、合わせて調査研究及びその成果の普及をおこなっている。

2 令和6年能登半島地震
令和6年能登半島地震は2024年1月1日16時10分に日本の石川県能登半島にある鳳珠郡穴水町の北東42 kmを震央として発生した地震で、規模はマグニチュード7.6、震源の深さは16 km。観測された最大震度は石川県輪島市と羽咋郡志賀町で観測された震度7。糸魚川市でも最大震度5強を記録し、当日は約6千人が避難行動をとった(人口約4万人)。人的被害は避難時の転倒等の計4名(いずれも軽症)。建物の一部損壊や液状化現象による被害等が発生している。また、海岸域では津波の到達も観測された。

3 フォッサマグナミュージアムでの取り組み
フォッサマグナミュージアムでは1月3日から津波の痕跡調査を開始した。市内15地点の海岸及び、津波が遡上した河川を調査したところ、石川県珠洲市から漂着した漁船や漁具、波の浸食で抉られた地形などが確認できた。押し波の影響と考えられるリップルマークや植物の転倒方向からは、津波の侵入方向を考察した。また、一部海岸では海岸礫のインブリケーションが見られ、波の痕跡が残されているうちにドローンによる空撮を行い、三次元モデルを作成、遡上痕の観察を行った。その結果、糸魚川市における津波の最大遡上痕は3~5m(一部優位に高い、低い有)、侵入方向は海岸線に直行と西からの2系統が考えられた。今回の調査においてはGISでの画像データ解析を栗駒山麓ジオパークの職員に依頼しご対応いただいた。知見のあるネットワークメンバーによって写真整理や解析を分担することができたのも本調査の好事例であると感じる。これらの調査の結果および地震に関する情報発信は引き続き博物館で行っていく。市民の関心度も高く、出前講座などによる地震の講座依頼は増えている。危機意識が高いことがうかがえ、今後も増加すると考えられる。糸魚川市の地震や津波の痕跡を迅速に調査することができたのは地域博物館がある強みである。引き続き地域に根差した博物館として調査研究、そして発信をおこなっていく。

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