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[T17-P-8]Nanoscale pore structure analysis of the Nobeoka thrust

*Keisuke Nakamoto1, Jun Kameda2, Yohei Hamada3, Ryota Hata1, Asuka Yamaguchi4 (1. Hokkaido Univ., 2. Okayama Univ., 3. JAMSTEC, 4. Univ. Tokyo)
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Keywords:

Nobeoka thrust,pore structure,gas adsorption method

岩石の間隙構造は流体やガスの輸送過程に影響を与える要因の1つであり,透水率の低下による間隙水圧の上昇など断層運動への影響も考えられる.ナノスケールの間隙構造は断層の主要な構成要素の一つである微細な粘土鉱物の種類やファブリックに関連しており(Kuila and Prasad, 2013),断層の形成・発達過程を理解する上で有用な情報を提供することが期待される.間隙構造の評価方法は水銀圧入法が代表的であるが,窒素ガス吸着法を用いることによりBrunauer-Emmett-Teller(BET)法によるBET比表面積やBarrett-Joyner-Halenda(BJH)法による細孔径分布といったパラメータの算出が可能となる.この細孔径分布はIUPACの定義するmicropore(細孔径2 nm以下の細孔)やmesopore(細孔径2-50 nmの細孔)の範囲を含み,小さな細孔の解析に適したものである.本研究では主に窒素ガス吸着法を用いてナノスケールの間隙構造を評価し,断層の形成・発達過程や力学的性質を検討する.
本研究では九州四万十帯に属する延岡衝上断層を対象として,断層の間隙構造と特に断層帯中軸部付近に見られる脆性変形との関連性について検討した.延岡衝上断層は,南海トラフにみられるデコルマから派生した巨大分岐断層深部の陸上アナログと考えられている化石断層であり,過去の海溝型地震に伴う変形を記録していると考えられている.ここでは,延岡衝上断層掘削プロジェクト(NOBELL)で採取されたボーリングコア試料を用いて,窒素ガス吸脱着測定による間隙構造評価とXRD分析による鉱物組成の定量を行った.測定は上盤の千枚岩と断層帯中軸部近傍のダメージゾーン,断層帯中軸部,下盤のカタクレーサイトを対象とした.分析の結果,断層帯中軸部においてはmesopore容積の減少に起因すると考えられるmicroporeの比率の増加が認められる一方で,BET比表面積には明瞭な変化は見られなかった.Fukuchi et al. (2014) で報告された粉砕実験の結果も踏まえると,これはイライト粒子の破壊に伴う細粒化と破砕された粒子のmesoporeへの選択的充填が起こった結果と考えられる.こうした細孔の閉鎖は透水性の低下を引き起こし,地震発生時の高速変形にともなう動的断層弱化過程(熱圧化)に寄与した可能性がある.

引用文献
Fukuchi, et al. (2014) Earth, Planets and Space, 66, 1-12.
Kuila, and Prasad, (2013) Geophysical Prospecting, 61, 341-362.

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