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[T13-P-26]The features of uncofomities, sedimentary structures, and the paleoenvironment of sandstone of the Miocene Kawai Formation in Tamayu Town, Matsue City

*Ryuki UEOKA1, Tetsuya SAKAI2 (1. Shimane University Graduate School of Science and Technology, 2. Shimane University)
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【ハイライト講演】  本研究でとりあげる川合層は中部中新統で日本海拡大に伴う海進期の地層とされる.この研究では野外調査と堆積相の記載を行い,海進期の地層がどのような環境変化・堆積過程をたどったかを明らかにするとともに,基盤との高角の不整合・層理と平行な不整合がそれぞれ海食崖・波食棚であることなどを示すものである ※ハイライト講演とは...

Keywords:

the opening of the Sea of Japan,coastal cliff,tidal sediments


 宍道湖の南に位置する島根県松江市玉湯町から宍道町にかけては, 川合層と呼ばれる中期中新世の地層が分布する. これまでの研究によると, 川合層は海浜から沖合にかけての浅海性の堆積物とされている(鹿野ほか, 1991).この地層は,上位の久利層(半遠洋性の泥岩層)とは指向関係にあるとされ,日本海拡大に伴う海進時に形成されたものとされている.一般的に,海進時の堆積物はエスチュアリーなどの一部の環境を除き,地層記録には残りにくい.川合層が, どのような浅海環境で,どのような堆積過程を辿ったかを理解することは,日本海開裂に伴う海進時に起きた環境変化をより深く理解することにつながる.しかし,この地層に対する詳細な堆積学的研究が行われていない.そこで本研究では, 川合層について詳細な地質調査を行い, 堆積相の記載情報から, 川合層の堆積した当時の環境を復元することを目的とした.
地質調査の結果,(1)基盤岩である花崗岩との境界が, 正断層で隔てられている地点や, (2)花崗岩と川合層砂岩との不整合に,高角な部分,層理面と平行な部分のあることが確認された.高角な不整合が低角な不整合に移り変わると推定される部分も確認された.高角な不整合面が低角なものに移り変わる部分では, 層理面に対して20度程度傾いて配列する花崗岩の円礫(中礫から大礫)が確認された.これらは,崖の麓に発達した礫浜,もしくは小規模な崖錐の堆積物であると解釈される.このことを踏まえると, 高角の不整合面は海食崖,層理面に平行な不整合面は波食棚または海食台と解釈できる. その上位に重なる砂岩と上位の久利層との間の分布域は狭いため,このエリアの川合層砂岩は,海進に伴って形成された海食崖に発達した崖錐斜面の堆積物である可能性が指摘される.この地域で波浪の作用を直接示すような堆積構造はまだ見つかっていないが,海食崖や海食台の形成には波浪の作用が欠かせないため, この地域の地層の形成にはある程度波浪の作用が影響していた可能性が示唆される.
別の地点では,層理面とほぼ平行な不整合面上に,トラフ型斜交層理の発達する砂礫岩層を主体とし,浅いチャネル構造を埋める,河川流路堆積物も新たに見つかった.本研究ではマッドドレイプやダブルマッドドレイプを伴う層準も新たに発見した. これらは潮汐堆積物の特徴である.現時点では潮汐堆積物が存在する環境について具体的なことがまだ明らかにされていないが, 川合層形成時には波浪の影響する場, 潮汐の影響する場が混在する, 複雑な堆積場が存在していた可能性があると考えられる.
引用文献
鹿野和彦・竹内圭史・松浦浩久 (1991) 今市地域の地質. 地域地質研究報告(5万分の1地質図幅), 地質調査所, 79p.