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[P-154]Efficiency of optical scan in nightguard manufacturing for a patient with Rett syndrome

*Nobuko Yamamori Shimazaki1,2, Shota Fukazawa1, Yutaro Oyamada1, Atsuo Nakanishi1, Kazuhiro Kon1 (1. Division of Fixed Prosthodontics and Oral Implantology, Department of Prosthodontics, School of Dentistry, Iwate Medical University, 2. Michinoku Medical Center on Disability and Health)
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【緒言】
 障害者の印象採得では,開口保持の困難性,印象材の誤飲・誤嚥の危険性への対応に苦慮することが多い.今回,Rett症候群の患者に対し,光学印象採得によるナイトガードの製作・装着を経験したので報告する.なお,本発表にあたり保護者に説明し同意を得た.
【症例の概要・治療内容】
 患者:16歳女子.主訴:ナイトガードに穴が開いた.障害名:Rett症候群,てんかん,小頭症による四肢機能障害.現病歴:日常的に歯ぎしりをするため,6歳時からナイトガードを終日装着しており,ナイトガードが穿孔するため定期的に新製していた.しかし,身体の成長に伴い通法の印象採得が困難となり,医療型障害児入所施設みちのく療育園メディカルセンター歯科を経て,20X年に岩手医科大学内丸メディカルセンター歯科医療センター障がい者歯科を紹介受診した.現症:座位保持困難のため終日車椅子を使用しており,常同運動を認め,有意語はなかった.また重度ブラキシズム,上顎前突,口唇閉鎖不全,および日常的な流涎がみられた.
【経過ならびに考察】
 体動をコントロールしながら開口器,口角鉤などで可動粘膜を広げ,光学印象採得・咬合採得を行った.得られたデータをSTL(Stereolithography)変換し,3DプリンタでDLP(Digital Light Processing)光造形樹脂模型を製作した.デュプリコーンにて製作した副模型上でナイトガードを製作・装着した.約4か月後に,右側小臼歯部に穿孔を認めたため,再度製作した副模型上にてナイトガードを再製作・装着した.その後,残存歯のメインテナンスとともに数か月に一度の割合で,ナイトガードの再製・装着を繰り返した.20X+2年および+6年に,保護者よりナイトガードの着脱がしにくいとの訴えがあり,残存歯の移動や咬耗などが疑われたため,同様の方法にて光学印象を施行し,ナイトガードを製作・装着した.本症例は開口保持が不可能なため,通法の印象採得は困難であった.しかしながら,光学印象は片側ずつ実施可能なため,開口器を併用し印象採得が可能となった.また数か月ごとの再製作が必要であったため,スキャンデータがあることは患者負担の軽減の点で有利であった.以上のことから,本症例では,光学印象によるナイトガードの製作・装着は,患者の負担軽減および医療安全の点から有効であった.