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[SY6-3]Significance of Oral Rehabilitation for Extending Healthspan of Older Adults

*Yasunori Ayukawa1 (1. Section of Implant & Rehabilitative Dentistry, Faculty of Dental Science, Kyushu University)
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Keywords:

健康寿命,認知症,転倒

8020達成者が半数に達し,臨床実感としても大規模欠損に対する補綴治療の必要性が以前より減少しているのが感じられる.演者の大学がある福岡市は西日本の最大都市の一つであり若者人口が多いが,実際に中心部で開業されている歯科医師によると,義歯を用いた欠損補綴自体がかなり少ないとのことであった.これはもちろん欠損補綴の頻度自体が低下していることが理由であるが,その反面,健康寿命と平均寿命の間の,都心に足を運ばない高齢者が地域や在宅で多数存在するとも考えられる.日本のほとんどの地域が高齢化を加速していることを考えると,「都心に足を運べない高齢者」へのアプローチが重要と考えられる. 顎口腔系の代表的な機能は咀嚼,嚥下,発音,呼吸,表情表出といわれているが,近年顎口腔系のリハビリテーションがもたらす様々な効果について報告されている.特に顎口腔系のリハビリテーションは,認知症,転倒,肺炎といった高齢者が直面する問題の改善にも大きく関連していることが示唆されている. 高齢化の問題は,医療,介護等の福祉費用の増加,地域経済の衰退やコミュニティ維持の困難として現れるが,顎口腔系のリハビリテーションが認知症や転倒,肺炎のような健康寿命を終結せしめうるリスクを軽減できるのであれば,今後の日本が直面するこれらの問題をわずかでも改善可能と考えられる.本講演では,健康寿命に関わるリスクに対して顎口腔系のリハビリテーションができる貢献の可能性について議論したい.