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[12人-口-03]民俗芸能の衣裳・装備の変遷におけるスポーツ人類学的一考察長野県南伊那地域の屋台獅子の活動を中心に
*e.g.Akiyuki e.g.Matsumoto1 (1. Iida Junior College)
本研究は、長野県飯田市を中心にした「屋台獅子」という民俗芸能の活動を取り上げる。「屋台獅子」は大型バス程の獅子の体躯内部に囃子手が、外部の獅子頭から体躯につながる部分に舞手がつき、一台に総勢数十名が関わる江戸期から継続して行われている獅子舞である。「屋台獅子」の舞手や囃子手らは揃いの法被やタッツケ袴等の分担の活動別にそれぞれおそろいの衣裳を着用する。これらの衣裳や獅子頭、幌、ハナ等の獅子の装備が、この地域の地場産業と深く関連していることは、すでに報告した。ただ、この地域で誕生した「屋台獅子」の衣裳・装備の働き及びどのような変遷を経て現代に至ったのかについての経緯は、未だ具体的に示されていない。これらの衣裳・装備は、民俗芸能の身体活動に直接影響するものであり、これらの文化的価値の根幹に関わる重要な構成要素である。活動に伴う身体運動に適した素材や構造になっている可能性が大きいと推測された。そこで、本研究では各地域の「屋台獅子」の各団体が、それぞれの活動において、どのような衣裳・装備を準備してきたのかについて、その実態を調査しその変遷を明らかにすることを目的とした。フィールドワーク及びインタビュー等の人類学的方法により、屋台獅子を支える側の人びとへの調査を行ったところ、染色業及び織物業といった従来からの地場産業に加えて、呉服商や呉服問屋が業態転換し祭り物品卸業などの新たな業種の人びとが、飯田の民俗芸能である「屋台獅子」を育み支えてきた実態が明らかとなった。この地域の獅子は、生涯にわたって年齢階梯制に基づく各組織に所属する鼎地区の人びとの相互の関わりとつなぐものである。人びとは、獅子舞を共通の宝としながら、関わりを続ける。この地域システムの支えにより鼎地区の人びとは守られ、生涯にわたる健康でいきいきとした生活は、この安定した地域システム支援の「継続性」によって現在も維持されている。
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