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[スポーツ文化-B-02]エコロジカル・アプローチに基づく体育授業の評価方法に関する研究(哲)思想的基盤としてのメルロ=ポンティの現象学的身体論から
*Shuhei Kitagawa1 (1. Aichi University of Education)
本研究は、エコロジカル・アプローチに基づき提示する体育授業における評価方法を、エコロジカル・アプローチの思想的基盤から考察することを試みるものである。エコロジカル・アプローチの観点から体育における〈できる〉を捉えると、それは身体と環境のマッチングとしてのケイパビリティである。そのため、学習者の〈できる〉は、学習者が環境に合わせて自らの身体能力を変えるだけでなく、環境を変えることによっても開発することが可能であり、学習者が〈できる〉を生み出すために、自らの身体能力にマッチした環境をどのように改変するのかという、環境を変える創造性という評価基準を新たに提示することができる。本研究では、このような創造性をどのように評価することができるのかについて、エコロジカル・アプローチの思想的基盤として位置づけることができる、メルロ=ポンティの現象学的身体論から考察を行った。メルロ=ポンティによれば、行動はその構造に応じて「癒合的形態」「可換的形態」「象徴的形態」に分類でき、特に「象徴的形態」は人間に特有の行動の形態であり、同一の主題を様々に表現することができるパースペクティヴの多様性を持つ。例えば体育の逆上がりでは、一見すると補助器具としての役割を持たない用具を補助器具として捉えたり、後ろ向きの回転という同一の主題を跳び箱の上やマットの上など様々な環境で表現したりできることが象徴的形態であると考えられる。体育の目的・目標は「ヒトの身体面からの人間化」であり、このことをメルロ=ポンティの行動の形態を基に捉えるならば、それは行動の形態が象徴的形態へと移ったときであるといえる。そのため、体育授業における環境を改変する創造性は、環境の観点から見たときに身体能力をどのように機能させることができるのか、というパースペクティヴを変えること・パースペクティヴの多様性によって評価可能になると考えられる。
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