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[00哲-KL-1]Desire in, around, and about Sporta way of understanding ourselves through sporting contexts

*Takuya Sakamoto1 (1. University of Tsukuba)
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<演者略歴>
千葉大学教育学部を卒業。東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科を単位取得退学。博士(教育学)。現在、筑波大学体育系准教授。専門は体育・スポーツ哲学。特に身体論と欲望論。著書に『体育がきらい』(筑摩書房)、近刊に『子どもたちのための体育をつくる哲学:身体・遊び・テクノロジー』(大修館書店)がある。
本講演の目的は、スポーツという現象を人間の欲望という視点から捉え、そこに浮かび上がるいくつかの論点を提示することである。具体的には、以下の3点について論じたい。
 まず、受賞論文において参照した欲望論の特徴を改めて検討する。それは、フロイトによる無意識の心理学との対比を通して、ジラールの「三角形的欲望」論の位置づけを示すことであり、同時に、現代社会における人間の欲望を再考する手がかりを示すことでもある。次に、その欲望論の視点から、スポーツにおいて暴力的行為が生じる背景を探る。これは受賞論文の主題であり、なおかつ、今日もスポーツの場に現出している様々な倫理的問題にかかわる論点でもある。最後に、スポーツにおける欲望論の可能性を示したい。例えばそれは、オリンピックをはじめとした大規模スポーツイベントを巡る欲望であり、子どものスポーツを巡る大人の欲望であり、さらには、スポーツにおけるテクノロジーの導入や応用に関する我々の欲望を描き出すことである。
 スポーツを巡る欲望を捉えようとする以上の試みは、人間の文化としてのスポーツが一体何であったのかを考えるための不可欠の視点を示すとともに、そこに生きる我々自身を理解するための1つの方法ともなるであろう。

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