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[競技スポーツ-B-03]チームスポーツにおけるエリート競技者の「育成」と「強化」に関する検討(哲)

*Itsuki Otomo1 (1. university of Tsukuba)
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各中央競技団体はプロ選手や日本代表を目指す中高生アスリートに対する取り組みとして、一貫指導の観点から指導方針を作成している。指導方針では、中高生指導に対する理念として「育成」と「強化」が重視されている。日本バスケットボール協会を例に挙げれば、「育成」は主に選手個人の技術や身体能力を向上させること、そして「強化」はチームとして勝利を目指すことであると定義されている。しかしバスケットボールをはじめとするチームスポーツにおいて、コーチが選手たちに身体的な優位さに頼ったプレイをさせる状況はよく見られる。つまり、勝利のみが目指され、選手個人の「育成」が十分に行われていないのである。ここで「育成」と「強化」の定義に目を向ければ、内山が指摘しているように技術の獲得や向上は勝利という目標の実現に向けて行われるのであり、「育成」で行われることは「強化」としてそのまま言い換えることができる。つまり、勝利追求によって「育成」も実現することができてしまう定義は問題がある。では、「育成」と「強化」をどのように捉え直すべきであろうか。5種目の中央競技団体の指導方針では、「育成」と「強化」の対象が不明であり、かつ「強化」では勝利を目指すための取組が具体化されていないことに問題がある。そこで筆者は「育成」がすべての選手を対象とした、卓越性の向上であり、さらに「強化」がすべての選手を対象とした卓越性の発揮であると捉える。「育成」では目前の試合での勝敗にかかわらず新たな技術や身体能力を習得、向上させ、「強化」では戦術選択や選手起用によって、選手の卓越性をより強め、発揮させる。新たに捉えられた「育成」と「強化」はどちらも練習、試合において行われるものであり、すべての年齢を対象とする。そして「育成」と「強化」は、繰り返し実践されることが望ましい。

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