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[学校保健体育-A-06]高校入学年次の柔道におけるICT導入による「分析」を通じた対話的な学びの実践研究(発,測,教)映像分析ツールSPLYZA Teamsを活用した運動の言語化とコミュニケーションの活性化に着目して

*Mao Hashimoto1 (1. Osaka Kyoiku Univ.)
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本研究は、高校入学年次の柔道授業において、映像分析ツール「SPLYZA Teams」を活用したICT導入による「分析」を通じて、生徒が自己や他者の動きを言語化し、対話的に学びを深めるプロセスを明らかにすることを目的とした。近年、体育授業においてもデジタルツールの導入による学習効果の向上が期待されている。特に、高校1年次は、生徒にとって新たな学習環境や人間関係に適応する重要な時期であり、対話的で協働的な学びの基盤を形成する絶好の機会である。柔道は身体接触を伴う競技であり、安全配慮とともに相互理解や状況把握が求められるが、実技中心の指導では自己や他者の動きを言語化し共有する機会が限定されがちである。そこで、柔道の実践場面を可視化・分析・共有することで、生徒が自他の動きを客観的に捉え、運動の言語化や他者との対話を促進し、自己理解・他者理解を深める新たな学びの形を模索することが重要であると考えた。柔道の選択授業(計14時間)では、生徒が「タグ付け」や「描き込み」を使って、自身や他者の技の映像を分析・共有する学習活動を実施した。教師は「授業取り上げタグ」を使って的確な視点での描き込みについて共有・評価した。アンケートや自由記述から、分析活動が自己理解・他者理解を促進し、技術向上や学習意欲につながっていることが明らかとなった。また、言語化されたフィードバックを通じて生徒間のコミュニケーションが活性化し、柔道の学習が一方通行でなく協働的なプロセスとして構築されていた点が注目される。本実践は、柔道という伝統的かつ個別性の強い実技領域において、ICTを用いた「分析」と「対話的学習」を有機的に結びつけた点に新規性がある。運動の可視化・言語化を通じて、生徒の思考力や表現力を育成し、主体的・対話的な学びを実現する実践は、今後の体育科教育におけるICT活用のモデルとなることが期待される。

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