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[生涯スポーツ-A-11]運動部活動の期待と機能が及ぼす継続への困難感(経)中高生の抵抗条件の認識と運動者行動論からの問題提起

*KOUKI TSUNEURA1,2, YOSUKE TAHARA3 (1. Kurashiki Sakuyo University, 2. Hiroshima University, Graduate School, 3. Aoyama Gakuin University)
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中高生の運動部活動からの逃避行動は、部活動の地域展開という変革期において、その成否を左右する重要な課題である。単に活動の場を地域へ移行するだけでは、生徒のスポーツからの離脱を防げない可能性があり、活動継続を困難にする要因の理解が不可欠である。本研究は、この課題に対し生活者の主観的意味に着目した運動者行動論(常浦・高岡, 2016)の視座から、生徒が捉える抵抗条件の認識パターンを類型化し、それが逃避行動としての離脱にどう関連するかを検討する。
調査はT県の中高生運動部所属生徒を対象とした。退部予測関連の項目を用いた探索的因子分析の結果、6つの抵抗条件を抽出した。これらに基づくクラスター分析により、生徒は、低抵抗・比較的適応型と多重抵抗・葛藤型に分類された。次に、退部経験の有無との関連をロジスティック回帰分析で検討した。その結果、希望する部活動への入部の有無と部の機能不全と刺激不足を独立変数としたモデルが有意であった。希望部活動に入部した生徒は中学時代の退部経験が有意に少なく、部の機能不全と刺激不足の認識が高い生徒は退部経験がある傾向が見られた。
以上から、生徒が捉える抵抗条件にはパターンが見出され、これらのパターンを特徴づける個別の抵抗条件が過去の逃避行動と関連する可能性が示唆された。さらに、これらの抵抗条件は、生徒自身の価値観や期待と、部活動運営実態や学校・家庭環境との間の不協和が個人の主観的意味でネガティブに意味づけられた結果と考えられる。このことは、部活動の地域展開において、現状の学校部活動において、生徒の逃避行動に繋がり得る要因を理解し、それを繰り返さない新たなアプローチが求められることを示唆する。具体的には、生徒の主観的意味によって形成される複合的な抵抗条件を踏まえ、個々の生活者に寄り添うスポーツサービスの設計が継続への困難感を軽減し、肯定的な関与を促す上で重要である。

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