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[健康福祉-B-04]知的障害特別支援学校の生徒は水泳授業に何を期待しているか?(発,教,ア)高等部生徒を対象とした意識調査より

*Yuichi Iwai1, Shin-Ichiro Moriyama2 (1. School for Children with Disabilities Tokyo Gakugei University, 2. Tokyo Gakugei University)
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【はじめに】障害のある生徒は、日常生活における身体活動の確保が課題とされ、屋内で実施できる水泳は有効な手段として位置づけられる。また、余暇と関連して保護者のニーズも高い。一方、学校での水泳授業は泳法習得や可泳距離の延伸を重視した内容が多いこと、障害のある生徒への指導は経験に基づいたものにとどまっていることが指摘されている。本研究では、当事者である高等部生徒の視点から水泳授業に対する意識を明らかにし、今後の授業設計に資する知見を得ることを目的とした。【方法】知的障害特別支援学校1校を対象に、高等部に在籍する生徒27名(男性14名,女性13名)に質問紙調査を実施した。質問紙は、選択式及び自由記述式で構成され、水泳授業に対する「期待」「不安」「疲労感」等の心理面や身体面及び「水泳経験」等の個人の特徴の全18項目であった。得られたデータは、選択肢ごとに集計され、自由記述はカテゴリー化された。本研究は、東京学芸大学研究倫理審査委員会の承認後、保護者及び対象生徒に同意を得て実施された。【結果・考察】選択式項目の結果では、「水泳が楽しい」と回答した生徒が約9割であった。授業に対する期待では、「楽しむ」(44.4%)、「体重を落とす」(37.0%)といった、心理面・身体面に関する回答が多く見られた。また、「余暇・生涯スポーツ」(11.1%)という回答もあった。一方、「怖かったこと」では、「溺れる」「水が怖い」等、事故や水環境に対する回答があった。以上、知的障害特別支援学校高等部生徒への水泳授業は、単なる泳法習得にとどまらず、健康的な体づくり、余暇の充実といった多様な意義を持つことが示唆された。同時に、水泳特有の不安や恐怖への配慮が授業設計において不可欠であることも明らかとなった。今後は、「楽しさ」や「安心感」を大切にしながら、卒業後の余暇にも繋がる水泳授業の在り方を研究していく必要がある。

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