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[健康福祉-A-04]バーチャルリアリティを用いた簡便な歩行分析システムの精度検証(測)高齢者の歩行支援への応用を目指して
*Ryotaro Waki1, Junki Inoue1,2, Takahiro Higuchi1 (1. Department of Health Promotion Science, Tokyo Metropolitan University, 2. Technology Development Laboratories, Sony Corporation)
超高齢社会において,高齢者の転倒は社会的問題となっている。高齢者の一部では,歩行中に足元を注視することが指摘されている。足元の注視は,安全な移動に必要な歩行中の進路認識を妨げ,転倒危険性を高めてしまう恐れがある。本研究室は今までバーチャルリアリティ(VR)を用いて,歩行中の進路認識を評価するVR-MTS課題を開発してきた。VR-MTS課題とは,歩行路に等間隔で配置した3色の四角形のうち,指定した1色を連続で踏み続けるMTS課題をVR上で再現した課題である。MTS課題では,頭部と両足部の位置情報を用いて課題遂行時間や頭部屈曲角度を分析し,課題中の行動特性を評価する。本研究では,VR 機器を用いて頭部と両足部をトラッキングする簡便な歩行分析システムを開発し,その測定精度を動作解析装置と比較する形で検証した。健常若齢者10名(25.6±4.2歳)を対象とし,VR-MTS課題を15試行実施した。課題中の課題遂行時間と頭部屈曲角度を動作解析装置と簡便な歩行分析システムで測定した。2つ測定機器での課題遂行時間と頭部屈曲角度の測定誤差を算出し,測定誤差の平均値及び95%信頼区間を算出する形で測定精度を検証した。実験の結果,課題遂行時間の絶対誤差については平均値が0.11秒,95%信頼区間が0.02~0.16秒であった。頭部屈曲角度の平均絶対誤差については平均値が1.46°,95%信頼区間が0.17~2.76°であった。課題遂行時間と頭部屈曲角度の結果は,本歩行分析システムは動作解析装置に近い測定精度をもつことを示した。これにより,高額な動作解析装置を用いなくても,本システムを用いて高精度かつ簡便に動作解析が行える可能性が示唆された。将来的に,道路横断場面など,より実践的な場面をVRで再現し,そうした場面の歩行を安全に評価することも可能である。
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