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[スポーツ文化-B-07]都市空間におけるスケートボードを「犯罪化」するポリティクスとは?(社)スポーツ犯罪学的試論

*Yoshifusa Ichii1 (1. Ritsumeikan Univ.)
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本報告の目的は、ポスト東京2020の都市におけるスケートボードを犯罪化するポリティクスの把握を試みることにある。周知のように、東京2020オリンピックとパリ2024オリンピックにおける日本のスケートボード・オリンピアンの活躍は、多くの日本国民によって称賛され、公設のスケートボードパークの増設を後押ししてきた。その一方で、ストリートでのスケーターのスケーティングがメディアによって報じられ、今まで以上にスケーターが厳しく非難されることも増えてきた。さらには、スケートボードやスケーターをストリートからスケートボード専用の施設、つまり、スケートボードパークへと「囲い込む」ことを当然視する傾向も強まっている。このような現状を分析するにあたり、本報告は近年英語圏のスポーツ研究において注目されている「スポーツ犯罪学」という理論枠組みを参照する。スポーツ研究に犯罪学的な視点を導入することのアクチュアリティとは、近代スポーツと社会規範との「適切な関係」を批判的に考察することにある。まさに、スケートボードは、近代スポーツと社会規範との「適切な関係」を動揺させるものと捉えられている。それゆえに、都市空間の秩序を形成するために、スケートボードを「犯罪化」することが検討され、実施されてきた。しかし、ストリートでのスケーティングが迷惑行為と認識され、その解決がスケーターのモラルやマナーに任されているようでは、ポスト東京2020オリンピックのスケートボード文化は醸成するのであろうか。そもそも、スケートボードは「犯罪」なのであろうか。本報告では、スポーツ犯罪学という理論枠組みを参照しながら、都市空間の規制化や衛生化、近代スポーツのイデオロギーとの編み合わせに注目し、スケートボードを犯罪化するポリティクスを検討する。

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