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[学校保健体育-SA-3]Can physical education embrace diversity?From the perspective of gender and sexuality

*Keiko Itani1 (1. Kyoto University of Education)
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<演者略歴>
京都教育大学名誉教授。博士(学校教育学)。専門分野:体育科教育学、体育・スポーツとジェンダー研究。日本スポーツとジェンダー学会理事。近著:『どうして「体育嫌い」なんだろう ジェンダー・セクシュアリティの視点が照らす体育の未来』(2025, 大修館書店)
人々の多様性を考えるにあたって、人種、ジェンダー、セクシュアリティ、国籍、障害などのカテゴリーがそれぞれ別個にではなく、相互に関係し、人びとの経験を形づくっていることを示すインターセクショナリティ(交差性)という概念を捉えることが重要である。「多様性を尊重」するとは、多様な側面を持つ個人の存在を認め、尊重するだけでなく、複合的な差別や権力関係、特権の交差に眼を向ける必要がある。
 一方、学校体育の現状を見ると、エリート男性の教育手段として発祥・発展してきた競技スポーツが体育カリキュラムや運動部活動の中心に置かれており、経験でも能力でも優位な特権性を持つ者が制度設計や指導にあたっていることが常である。「ボールが怖い」「水着が嫌」「体育がなくなればいいのに」という「体育嫌い」の子どもたちの思いがカリキュラム作成や指導の場にどれほど反映されているのか改めて問い直す必要があるだろう。例えば、「スポーツはすべての人の権利である」と謳われながら、スポーツでも学校でも性別二元制は絶対的な規範として機能している。男女に分けることによって見えなくなる存在は、置き去りにされている。また、学習指導要領の変遷とともに体育の目標が変化しても、実践段階での評価は相変わらず技能に重心が置かれている。
 本発表では、「体育は多様性を受け入れることができるのか?」という基本的クエストに立ち、ジェンダー、セクシュアリティの視点からから議論を深める。発表の構成として、⑴多様性とは何か ⑵男はできて当たり前? 女は嫌いでも仕方がない? ⑶競技スポーツ中心の学校体育の問題 ⑷解決に向かうために を予定している。

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