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[競技スポーツ-A-14]セイバーメトリクス指標を用いた大学野球の勝率に影響を与える要因の検討(コ)
*Ayumu Hatta1, Masaaki Sugita2 (1. Graduate School of Health and Sport Science,Nippon Sport Science University, Tokyo, Japan, 2. Faculty of Sport Science, Nippon Sport Science University, Tokyo, Japan)
本研究の目的は、セイバーメトリクス指標を用いて大学野球の勝率と関連する要因を明らかにし、競技力向上に資する知見を得ることである。対象は、全国26連盟中、一球速報.comのウェブ上で確認できた2024年春季および秋季リーグ戦に出場した22連盟138チーム(1622試合)とした。各リーグで勝率1位となったチームをTop群(以下、T群;n=23)、その他をNon-Top群(以下、N群;n=115)として分析を行った。使用した指標は、FIP(投手力)、OPS(打撃力)、DER(守備力)、Spd(走塁力)である。統計処理は、正規性を確認後、各指標についてT群とN群の比較、ならびに各群における勝率と各指標との相関関係を検討した。その結果、T群はN群に比べ、すべての指標で有意に優れていることが示された(p<0.001).勝率と各指標の関係では、N群で全ての指標が有意な相関が認められ、OPSが最も強い相関を示した(ρ=0.769,p<0.001)。一方、T群においてもOPSが最も強い相関を示した(ρ=0.735,p<0.001)が、FIP(ρ=-0.019,p=0.930)およびDER(ρ=0.397,p=0.061)との間には有意な相関が認められなかった。以上の結果から、大学野球の勝率は、特にOPSと関連している可能性が示唆された。また、T群のような競技力の高いチームでFIPおよびDERと勝率との相関がみられなかったことは、N群に比べ、これらの指標がいずれも高水準で安定しており、チーム間での差が小さかった可能性が考えられる。したがって、大学野球においてはOPSの向上が勝率改善に向けた重要な要素であると考えられる。また、N群のような下位チームにおいては、FIPおよびDERを向上させ、失点抑制に向けた取り組みの必要性が示唆され、指導現場では競技力に応じた実践が求められる。
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