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[学校保健体育-B-09]上肢のプライオメトリクスを取り入れた投動作指導が高校生の投能力および認識面に与える影響(教)

*Hiroshi Ikegawa1 (1. Hyogo Prefectural Itamikita H.S.)
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投動作は後天的に獲得される技能であり、適切な学習機会と効果的な指導が求められる。しかし、スポーツ庁による令和5年度体力・運動能力調査では、青少年のボール投げの記録が過去10年間で下降傾向にあり、学習機会や指導内容の質に課題があることが示唆される。特に高校期は、体育授業が生涯スポーツの基礎を形成する重要な時期であり、効率的な投動作の習得が求められる。その中で、注目されているのが、上肢の伸張―短縮サイクル(SSC)である。SSCは筋の弾性エネルギーや伸張反射を利用して爆発的な力を発揮する特性を持ち、投動作との親和性が高い。本研究では、SSC運動を強調したトレーニングである上肢のプライオメトリクスを用い、投動作指導を行った。毎回の授業冒頭に約7分間実施し、感覚定着と動作理解を促した。単なる動作実施ではなく、生徒がSSCの原理や目的を理解し、それを意識しながら取り組むことを重視した。対象はI高等学校の2年次男子22名とし、指導前後で遠投距離の測定および高本ほか(2003)に基づく投動作の観察的評価を実施した。加えて、指導後には記述式質問紙を配布し、生徒の認識面に与える影響をテキストマイニングにより分析した。その結果、遠投距離及び「体幹後傾」「フォロースルー」「体重移動」「体幹回転」などの動作項目、および「最終的なパターン」「合計点」において有意な技能向上が見られた。自由記述からは、SSCを意識することでフォーム改善や投げやすさを実感し、成果への達成感や満足感が高まっていたことが明らかとなった。また、ペア学習や他者からの助言が学びの深化を促す要因として肯定的に捉えられていた。一方で、競技経験や用具の違いにより混乱を覚えた生徒も存在した。これらの結果から、SSCという運動要素自体の効果に加え、それを理解し意識的に活用することが、投能力の向上に関係していると考えられる。

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