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[12人-口-07]ドイツの柔道教育における形の位置付けドイツ柔道連盟の取り組みの分析を中心に

*Maja SORI DOVAL1 (1. Tsuda University)
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本研究は科学研究費助成基金事業「ドイツにおける生涯スポーツとしての柔道の捉え方:対象者別の指導法を中心に」(若手研究2020~2024年)の一環としてドイツの柔道教育における形の位置付けを生涯スポーツの観点から考察してみた。研究方法としては級段位規定及び指導者養成に関するドイツ柔道連盟のガイドラインを分析し、同連盟の教育普及委員会の委員を対象にした聞き取り調査も行った。ドイツの柔道教育において、形は相手と相対して決めた順序と方法で攻防を行う予測可能な環境下で行われる「クローズド・スキル」として捉えている。それに対して、相手と自由に攻防技術を試し合う乱取や試合は「オーペン・スキル」とされている。ドイツ柔道連盟は日本の「講道館昇段資格に関する内規」(講道館2015)において形審査の対象となる「投の形」、「固の形」、「柔の形」、「極の形」、「講道館護身術」、「五の形」、「古式の形」の七種類を講道館の正式な形として捉えており、上級者、有段者及び指導者の柔道教育の対象とする。また、「精力善用国民体育」は柔道体操の内容として取り入れている。ドイツの柔道教育において形の習得過程は初心者(8~5級)、上級者(4~1級)、有段者(1~5段)、高段者(6~8段)の四段階に応じて位置付けられている。初心者の段階は形にも入っている技をいくつか自由に選択して約束稽古として学んでから上級者の段階において講道館の形の一部を習得へと進む。有段者は5段まで講道館の形七種類を習得し、高段者になると、形の指導者や形競技の審査員として形の評価ができる専門家を目指すことになる。指導員養成においてB指導員の資格一つとして形の指導者資格もある。以上にように、ドイツにおいて形が級段位の柔道教育に位置付けられており、対象者の年齢やレベルに応じた生涯スポーツとしての柔道の指導普及につながるではないかと考えられる。

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