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[00哲-口-03]コーチングの共同行為における「主体性・自律性」の位置づけ行為理論的検討を通して
*Shin Ideue1 (1. Nippon Sport Science Univ.)
コーチングはスポーツ指導に関する活動の総体として考えられることからコーチングには様々なアプローチが含まれる.その中の1つにアスリートの主体性や自律性といった人間的成長を促す人間的アプローチがある.このアプローチはコーチングを行うために重要なアプローチと主張される一方で,コーチング実践において適用する困難さも主張されている(Cross & Lyle,2008).適用を困難にする要因の1つとして,人間的成長のゴールが曖昧だということが挙げられる.というのも,コーチは人間的アプローチによってアスリートの「主体性」や「自律性」などを成熟させようとするだろうが,目指すべき,成熟したアスリート像が十分に示されないからである.そしてこの問題は,「主体性・自律性」をどのように考えるかという問題に依存する.本発表はこの「主体性・自律性」についての検討を中心に行うものである.一般的に「主体性・自律性」といった際に,個人の選択,決定から行動するように,行為が個人の意図に還元されている状態が想像されるだろう.つまり,自己完結的なものを想像する(早川,2010).しかし,このような自己完結的な「主体性・自律性」からでは自己と他者の交流のもとで生じる関係性や制約を反映することはできず(早川,2010),我々の行為や行為者としてあり方を適切描き出しているとは言い難い(筒井,2014).そして,これらの自己完結的な「主体性・自律性」に対する指摘は,選手とコーチの相互関係を前提とするコーチングの活動においては一層,重要な指摘になると考えられる.そこで本発表では,まず,意図する行為とはどのような行為なのかを行為論の枠組みから整理し,その後,他者との関わりの中での,意図する行為とはどのような行為なのか共同行為論の枠組みを用いて整理することで,自己と他者との関係が考慮された「主体性・自律性」を示すことを目指す.
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