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[00哲-口-04]実践からのコーチング哲学スポーツ・インテグリティのインテグリティについて
*shohei Takao1 (1. Nihon Fukushi University)
本研究の目的は,スポーツ・インテグリティの概念について批判的に検討し,この概念のもとでなにが語られ,なにが語られえないのかを示すことにある.本研究の出発点は,私自身のコーチング実践にある.私は,バスケットボールのコーチのライセンスを取得すべく,コーチ養成講習会に参加した.講習会では,理論・演習科目において「スポーツ・インテグリティ」に関する説明がなされた.しかしながら,講習会におけるスポーツ・インテグリティに関する説明は,具体的な内実を欠くものであり,極めて拡散的な内容であった.一人のコーチとしての私はその説明に戸惑いを禁じえなかった一方で,研究者としての私にはスポーツ・インテグリティという語が学問的に鍛えられた(disciplined)概念なのかという疑問が生じた.本研究の問題意識は,コーチであり研究者である私の実存にもとづいている.本発表のねらいは,現場から生じた問いを学問的議論の俎上に載せ,スポーツ・インテグリティに関する諸言説を編みなおすことにある.本発表では,まず,スポーツ組織や公的な機関が発するスポーツ・インテグリティの定義を参照する.次に,先行研究の成果をもとに,スポーツ界でインテグリティという語が用いられるようになった経緯を確認する.そのうえで,学問におけるスポーツ・インテグリティの定義やこの語が使用される文脈を精査する.最終的に本発表では,現状のスポーツ・インテグリティの概念の空洞性とそのことにより生じうる問題を指摘する予定である.
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