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[11教-口-12]小学校体育における「表現運動」の展開の試み体育授業から運動会、そして舞台上演へ

*Rina Wako1, Masako Masaki2 (1. Chukyo Univ., 2. Kacho College)
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小学校の体育授業において「表現運動」の指導は難易度が高く、創作に時間がかかるため敬遠されがちである。現状では表現運動に関する授業内容が、運動会に向けた集団演技の練習に置き換えられるケースも少なくない。
 本研究では、担任教諭とダンス専門の大学教員が協同し、小学4年生を対象に「表現運動」の授業を構築し、成果発表の場を授業内に留めず、運動会、さらには舞台公演にまで広げる実践を試みた。研究計画として、111名を対象に全12回の授業を計画し、最初の11回で表現運動の指導と創作活動を行い、12回目を運動会での発表と位置づけた。その約1か月後には大学主催のダンス発表会において、同一テーマの作品を26名の編成で照明付きの舞台で上演した。舞台上演後、児童20名による感想文をKHコーダーで共起ネットワーク分析した結果、「先生たちとの出会いの喜び」「仲間とともに創作したダンス」「観客に伝わるよう工夫した表現」「初めての舞台による緊張感」「拍手を受けた喜び」など、主要語を核とした意味的グループが抽出された。これらの記述からは、初めての大規模な舞台上演を、仲間と協力しながら緊張を乗り越え、達成感や自信を得る姿が浮かび上がった。佐藤学は協同的な学びの基盤として、対話的コミュニケーションの重要性を指摘し、感覚の共有を土台とする表現運動を体育における実践の一例と位置付けている。さらに仲間や教師の支援を得ながら、一人では到達できない課題に挑戦する「ジャンプの学び」が学習の質を高めると述べている。本実践は、体育授業から運動会、さらに舞台発表へと展開する中で、児童が新たな挑戦を重ね「ジャンプの学び」を体現した取り組みであったと評価できる。
 以上より、体育授業の学びを発展的に展開し、多様な環境において発表の機会を設けることは、児童の創造性・協同性・自己効力感といった教育的価値の高い成果を生み出す可能性が示唆された。

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