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[11教-口-25]共同体感覚を醸成する小学校体育の実践報告年齢差包摂プロジェクト学習によるコンヴィヴィアルな関係の構築・促進

*Akihisa UMEZAWA1, Koji MURASE2, Satoshi ISHIZUKA3, Tomoya HIRATA4, Tomoya YAMAUCHI5, Kentaro KUBO6, Yuki NAKAMURA7 (1. Yokohama National Univ., 2. Wakayama Univ., 3. Utsunomiya Univ., 4. Ebina Board of Education, 5. Nihon bunka Univ., 6. Tamagawa Univ., 7. Kyushu Kyoritsu Univ.)
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次期学習指導要領改訂に向けた論点整理(文科省、2024)では、学校の本質的役割において福祉的な側面を重視している。すなわち「多様な他者に出会い、共感や軋轢の中で自己を知り、高めるとともに、他者とどのように共存するか(中略)子供たち相互の関係で学ぶ貴重な場」であり「包摂的で、他者への信頼に基づく民主的・公正な社会を実現していく基盤として一層重要」であると。UNESCO教育勧告(2023)においても学校の福祉的役割が重視されている。同教育勧告では、変革的で質の高い教育に向けた14の指導原則が掲げられており、その内容にはインクルーシブやウェルビーイング、ジェンダー等、包摂性や衡平性に関する文言が繰り返し登場する。これからの衡平な体育・スポーツ教育においてキーワードとなる指導原則の内容はコンヴィヴィアルな関係だと考えられる。単なる友好を超えた関係性について、指導原則の(d)では「コンヴィヴィアルな関係を高めるために、互恵性及び思いやりを培う」(一部抜粋)と述べられている。
本発表では、コンヴィヴィアルな関係構築を目指した小学校体育実践の事例を報告する。具体的には、小学校5年生が小学校2年生と共にタグラグビーを楽しむための「年齢差包摂のためのアダプテーションルール創造」のプロジェクト学習である。他方、5年生の学級内には前年度まで体育に参加できない児童が在籍していた。同児童は自身の経験をもとに技能差を包摂するアダプテーションルールを提案する。クラスメイトや教師は共感共苦の関わりを繰り返す。多様な他者を受容する学習ムードの中で全ての児童の居場所感(今のウェルビーイング)の醸成に繋がっていると解釈された。
コンヴィヴィアルを1970年代に提唱したイリイチは、脱学校論(1977)を提唱している。福祉的役割を踏襲した学校教育であればコンヴィヴィアルな関係を高められるのではないだろうか。

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