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[08測-口-06]独りよりも友人とのテニスの方が実行機能は向上する

*Shinji Takahashi1 (1. Tohoku Gakuin Univ.)
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一過性運動の高次の認知機能である実行機能に対する効果はこれまでに数多く検証されている。運動強度、実施時間など一の量的特性は明らかになってきているのに対し、運動の種類などの質的特性についてはまだ不明な点が多いが、オープンスキル運動がクローズドスキル運動よりも実行機能を向上させるという報告が増えている。オープンスキル運動は、対戦相手やボールなどの動きに対応して運動を行う視覚運動と相手の表情や動作を観察・理解するという社会相互作用という2つの特性を有する。本研究は、視覚運動と社会相互作用を比較し、オープンスキル運動の実行機能に対する効果を分析した。対象者は男子大学生24名であった。対象者は、対人でショートテニスのラリーを行う条件(ラリー条件)、一人で壁打ちを行う条件(壁打ち条件)、トレッドミル上での歩行(統制条件)を行った。各条件の実施順はカウンターバランスにより相殺された。各条件の運動強度は46.1%VO2peakで同等であった(p = 0.359)。実行機能を評価するために、対象者は各条件の前後でストループ課題(中立課題,不一致課題)を行い、各課題の反応時間を記録した。反応時間は、条件(3水準)×時間(2水準)×課題(2水準)および各交互作用を独立変数とする混合モデルにより解析された。その結果、条件×時間×課題の交互作用に有意性が確認され(F (2, 23) = 3.7,p = 0.040)、ラリー条件は実行機能を求められる不一致課題の反応時間を統制条件よりも有意に短縮させた(p = 0.021)。一方、壁打ち条件と統制条件間に有意な違いは認められなかった(p = 0.916)。これらの結果は、オープンスキル運動の実行機能に対する効果は、視覚運動ではなく社会的相互作用によりもたらせられることを示し、誰かと行う運動の効果を示唆している。

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