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[05バ-口-05]自発的同調が高速度ランニングにおけるピッチに与える影響
*Shinnosuke Hase1, Toshimasa Yanai2 (1. Graduate School of Sport Sciences, Waseda University, 2. Faculty of Sport Sciences, Waseda University)
音楽を聴くことでランナーの意志に関わらずピッチが音楽のテンポに近づく「自発的同調」が低速度のランニングにおいて報告されている。一方、同様の現象が高速度のランニングでも起こるかは明らかではない。ランナーにとってピッチまたはストライド長を増加させるトレーニングは走速度向上の基盤となることから、本研究では高速度ランニングを対象に音楽による自発的同調の発生を検証した。大学陸上競技部に所属する16名を実験対象者とし、トレッドミルで最大走速度の70%で7秒間走行させた。試技は、音楽なし条件と9種類の異なるテンポ(90%から110%)の音楽条件の計10条件であった。慣性計測装置で測定した加速度データの鉛直成分を用いてピッチ(1分間あたりの歩数[SPM])を算出し、反復測定一元配置分散分析および事後検定を用いて条件間比較をした。その結果、103%条件(196 ± 8 SPM)でのピッチは、100%条件(194 ± 9 SPM, p < 0.05)および97%条件(195 ± 8 SPM, p < 0.05)より有意に高い値を示した。一方で、その他の条件(90%、95%、99%、101%、105%、110%)間では、有意な差は認められなかった。この結果は、高速度域の疾走時に103%の速いテンポの音楽への自発的同調が生じた一方、遅いテンポの音楽への自発的同調は生じなかったことを示す。これは本実験で用いた70%maxの走速度が、様々な速度条件で一定速度を維持して走行した際にストライド長が最大となる速度に近かったためと考えられる。つまり、最長ストライドを超えるストライド長を維持して走行することが困難であったため、遅いテンポへの同調がなされなかったと推察される。これらの結果は、走速度の増加が主にピッチの増加に起因する高速度のランニングにおいて、速いテンポの音楽への自発的同調のみが即時効果として期待できることを示唆している。
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