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[05バ-口-09]フィギュアスケートのにおける回転数の違いが鉛直速度生成に及ぼす踏切動作特性
*Maral-Erdene Gansukh1, Shinji Sakurai2 (1. Graduate school of health and sport sciences, Chukyo university, 2. School of health and sports sciences,Chukyo university)
【目的】フィギュアスケートのジャンプにおいて滞空時間の確保は不可欠な要素である。特にエッジ系ジャンプの一つであるループは、踏切脚後ろ向きアウトサイドエッジで急激に旋回運動を行いながら、身体重心(COM)の水平速度を適切に鉛直方向へ変換する技術が求められる踏切であり、鉛直速度の獲得メカニズムを理解することは競技力向上や指導への応用において重要である。本研究では、ループの跳躍高に着目し、回転数が異なる場合(2回転・3回転)の踏切特性の違いを、倒立振子モデル(阿江、1999)の観点から明らかにすることを目的とした。【方法】女子選手10名の2回転(2LP)および3回転ループ(3LP)を光学式モーションキャプチャ(Vicon、200Hz)で撮影し、COMと踏切脚中足骨中心を結ぶベクトルから倒立振子モデルを構築した。ベクトルの伸縮からなる鉛直速度を半径成分VR、COMの踏切脚ブレードの長軸を中心にした進行方向への回転からなる鉛直速度を接線成分VEとした。回転間の比較には対応のあるt検定を用いた。【結果】COMの最下点以降にVEが先行して出現し、その後、踏切脚トウピックが氷面にかかり始めてからVRが増加しCOM鉛直速度が加速していた。回転間の比較では、離氷時鉛直速度および跳躍高は3LPが有意に高い値を示した(p<.05)。VRのピーク値には有意差が見られなかったが(p=.26)、VEは3LPにおいて有意に高い値を示した(p<.01)。【考察】3LPでは空中で回転を回り切るために、身体を進行方向へ起こす動作による鉛直方向への推進成分をより大きく生成して鉛直速度を高めていることが示唆された。一方で、下肢の伸長動作は回転数による影響を受けず、跳躍高の差異は主に起こし回転量の違いに起因すると考えられる。本研究の知見は、ジャンプ種別や回転数に応じたトレーニング指導や技術分析への応用が期待される。
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