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[02社-口-07]中学校運動部における補欠部員のアンビバレンスに関する実証的研究指導者の補欠部員への指導に着目して

*Daiki Taneya1, Tetsuya Matsuo1 (1. Rikkyo Univ.)
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運動部における補欠部員は、自らのプレーを試合で発揮する機会が制限される一方で、練習での貢献が求められるなど、補欠部員ならではの様々な葛藤を抱えながら運動部活動を継続していることが考えられる。従来の補欠部員に関する研究は、山本(1990,1991)、青木(1990)、山崎・鈴木(2015)の部活動の参加動機や継続、退部の要因に着目した研究や、福井・豊田(2020)の応援活動に着目した研究など、補欠部員自身にアプローチした研究は見られるが、指導者側からアプローチした研究は少ない。
 そこで本研究では、同一の対象に対して相反する傾向、態度、感情が同時に存在する精神状態を意味する「アンビバレンス」の概念に着目し、指導者が補欠部員の葛藤をどのように認識し、補欠部員の指導上どのような葛藤を抱えているかを検討していく。具体的には、中学校の運動部指導者を対象とし、半構造化面接法を用いて、主な調査項目を「補欠部員との人間関係」、「補欠部員のアンビバレンス」、「指導者自身のアンビバレンス」、「補欠部員に対する考え方」に設定し、調査を行った。
 その結果、指導者が補欠部員のアンビバレンスとして認識しているものとして最後の大会に出られないとわかっているのに、指導者から引退まで練習を頑張れと言われる「心理学的アンビバレンス」や、主顧問と副顧問の指導法の矛盾によって生じる「社会学的アンビバレンス」、パスを出せと言われたが、すでに出すタイミングが遅く、なんでパスをしたんだと叱られるような「状況的アンビバレンス」が挙げられた。また、指導者は部員が葛藤を抱えることで自分で考える力が身につくと認識しており「治療的ダブルバインド」として葛藤を認識している様相が見られた。

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