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[02社-口-08]中学校における武道必修化がもたらす剣道の文化的変容に関する研究授業における「気」の指導をめぐって

*Teppei Kutsukake1, Tetsuya Matsuo1 (1. Rikkyo)
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平成24年(2012年)の学習指導要領改訂により、中学校の体育授業において武道が必修化され、剣道を含む各武道は教育現場において一定の定着を見せている。一方で、これまでの剣道授業に関する先行研究や実践的報告(上野, 2018;本多, 2020ほか)では、技能習得の側面に重点が置かれる傾向が強く、「気」に代表される剣道固有の精神文化を交えた議論は十分に展開されてこなかった。「気」は剣道において中心的な精神文化を担うものであり、有効打突の条件としてもその充実が求められる。このような背景のもとで、学校教育において「気」の概念が軽視されたり、形式的にしか扱われなかったりすることで、剣道が本来有していた精神的な本質的価値が失われている可能性があるのではないかと推察する。すなわち、武道必修化によって剣道の身体的動作及び礼節等の儀礼的側面のみが強調され、精神的な涵養という教育的価値が十分に伝わっていないという、いわば「非武道化」が起きていることが懸念される。
 そこで本研究では、中学校保健体育教員が「気」という概念をいかように捉え、指導現場においていかなる形で伝承・変容・あるいは捨象されているのかを明らかにすることを目的とする。調査方法としては、公立中学校保健体育科教員を対象に半構造化インタビューを実施した。加えて、得られた語りを修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(木下, 2007)に基づき分析することで、非専門教員並びに専門教員による「気」の解釈とその実践的な運用プロセスを明らかにした。
 詳細な分析結果においては学会大会にて発表することとする。

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