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[13ア-口-03]弱視者の動的バランス能力に影響を与える要因の検討

*Hitomi Asakai1, Mayumi Saito2 (1. Kabushikigaisya PASONA group, 2. University of Tsukuba)
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視覚情報や過去の運動経験が動的バランス能力に影響を与えることが、健常者では明らかになっている。しかし弱視者を対象にした研究では、静的バランスに関係するものは散見されるが、動的バランスを取り上げたものは管見の限りでは確認されず、弱視者が動的状況で姿勢維持を行う際に影響を与える要因が明らかになっていない。そこで本研究では弱視者の動的バランス能力に影響を与える要因について、学齢期の運動経験と視覚情報という2つの要因に着目して検討した。対象は弱視11名と健常20名の大学生とし、アンケート調査及び動的バランステストを実施した。動的バランステストは窪田ら(2012)が提示した測定器具を援用して実施し、全3回の動的バランステストで得られたスコアのうち、最小値を除いた2つのスコアの平均を動的バランススコアとして算出した。その結果、弱視者において学齢期の運動経験と動的バランススコアとの間に関連性は認められなかったが、弱視の程度と動的バランススコアとの間には関連が認められた。一方で、健常者においては学齢期の運動経験と動的バランススコアに関連が認められ、学齢期の運動経験が動的バランス能力に影響を及ぼす要因であることが、本研究で用いた動的バランステストからも確認された。これらのことから、弱視者の動的バランス能力に影響を及ぼす要因は、学齢期の運動経験よりも視覚情報であると考えられた。さらに弱視者のアンケート結果から、中学校期から球技種目が増えることや思春期の影響から運動への困難さが目立つようになることが示された。そのため、特に中学校期からの運動経験の質が下がることも動的バランス能力に影響があると考えられた。

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