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[13ア-口-04]国内ブラインドサッカー大会における頭部接触の実態と安全性に関する一考察

*TAKAHIRO AIKAWA1, Takashi Kawano1, Koki Hara2, Nobuyuki Kaji1 (1. Hiroshima Bunka Gakuen University, 2. Graduate School of Human Health Science, Hiroshima Bunka Gakuen University)
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ブラインドサッカーは視覚を遮断した状態で行われるゴール型競技のため、パラスポーツの中でも特に頭部外傷リスクが高い競技とされる。堤ら(2023)は、東京2020パラリンピックにおいて、1試合あたり平均52件の頭部接触があったと報告し、安全性の確保が重要な課題となっている。一方、国内大会における接触実態の把握は進んでいない。
本研究では、2023〜2024年度に開催された日本ブラインドサッカー協会主催の西日本リーグ15試合を対象に、試合映像を用いて頭部接触の発生状況を分析した。評価はブラインドサッカー経験のあるトレーナー3名が担当した。分析の結果、1試合あたりの頭部接触件数は平均14.2件であり、国際大会に比べて明らかに少ない傾向が示された。
この背景には、競技レベルの違いに起因する移動距離やスピードの差があると考えられる。先行研究では、フットサルやサッカーにおいてエリート選手ほど移動距離や高強度運動量が多いことが報告されており、ブラインドサッカーにおいても同様の傾向が推測される。
また、三枝ら(2020)は、熟練選手ほどトラップ時に下向きの頭部角度が大きいと報告しており、こうした姿勢が頭部を接触のラインに入れやすくする可能性がある。国内大会に出場する選手ではこのような姿勢が未習得である者が多いため、接触自体が起こりにくい構造となっていると考えられる。
さらに、視覚障害者は運動時に恐怖心を抱きやすく、その影響で重心が後傾し、手足が前に出る防御的な動作パターンが生じやすいことも接触回避の一因と考えられる。
今後は競技力向上に伴うリスク増加を見据え、予防教育、安全な姿勢・動作指導、装備対応を含めた包括的な対策が求められる。

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