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[04生-口-04]月経周期における腸内細菌叢由来代謝産物と運動パフォーマンスの関連月経周期における腸内環境とパフォーマンス

*Kaori Matsuo1, Shin-ichiro Moriyama2, Mikako Sunaga3 (1. Shunan University, 2. Tokyo Gakuvei University, 3. Nippon Sport Science University)
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【背景】女性は月経周期におけるホルモン動態によって、消化器系の状態などコンディションに変化がみられる場合がある。これらの体調の悪化は、日常的にスポーツ活動を実施している選手ではパフォーマンス発揮への影響が懸念される。
【目的】月経周期における腸内環境の変化に注目し、月経周期の各フェーズで腸内細菌が産生する代謝産物を調べ、運動パフォーマンスとの関連を比較し、トレーニング時の対策に還元できる基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】対象者は正常な月経周期を有する運動習慣のある健康成人女性とした。月経周期は基礎体温法と排卵日予測検査薬を用いて、黄体期、卵胞期、月経期を確認した。また、月経周期の3フェーズで各対象者の糞便を採取し、腸内細菌の代謝産物を比較した。加えて、採便時の便の形状変化を調べるために、Bristol stool scaleを用いて対象者が質問票にて回答した。運動パフォーマンスは、月経周期の各フェーズで試合をモデル化し、60%HRmax強度の有酸素運動(ウォーミングアップ)を30分実施し、その後、最大無酸素性パワーテスト(パフォーマンス発揮)を実施した。また、有酸素運動中の酸素摂取量と呼吸交換比から糖質と脂質のエネルギー代謝量を算出した。
【結果とまとめ】有酸素運動時の糖質と脂質代謝量および、無酸素性パフォーマンスの発揮には、月経周期による違いはみられなかった。便の形状は、月経期と卵胞期に便秘または下痢様の状態を示した対象者が多い傾向を示した。また、大腸上皮細胞の炎症抑制や腸管のバリア機能を担っており、短鎖脂肪酸の一種である酪酸は、月経期、卵胞期、黄体期の順に増加する傾向がみられた。これらの結果から、月経周期における運動パフォーマンスへの影響はみられなかったものの、便形状や酪酸の変化がみられたことから、大腸上皮組織の防御機能と関連している可能性が考えられた。

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