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[10保-口-01]高等学校保健「健康を支える環境づくり」における実験を取り入れた実践水道水の残留塩素濃度測定を通した学習
*Masatomo Nakagawa1, Haruka Imajyou1, Toshiko Ueda2 (1. St. Catherine Univ., 2. Ehime Univ.)
【目的】保健授業における飲料水の衛生的管理の内容は中学校保健領域「健康と環境」で学習しているが、高等学校では科学的な原則や概念に基づいて健康や安全に関する内容をさらに深め、総合的に学ぶことが可能であり、そうした実践が必要である。そこで本研究は、指導要領解説において指導方法の工夫の一つとして挙げられている「実験」に着目し、水道水の残留塩素濃度測定を通し、水質を守る仕組みと重要性について深く理解することをねらいとした実践を行い、その効果を検証した。【方法】高等学校2年生120名を対象に、単元「健康を支える環境づくり」の内、上下水道の整備について授業を行った。授業は数日前から当日に採取した水道水を3つ準備し、色、匂いを官能法により調べた。その後、グループで残留塩素濃度を測定し、いつ採取した水道水であるか予想する内容とした。授業前後には保健授業及び環境に対する認識や態度について質問紙調査を行った。分析は質問紙調査に回答した者の内、誤回答等がない86名を対象に行った。授業前後の比較は回答を平均値化し、Wilcoxonの順位符号検定を用いて検討した。自由記述の項目は計量テキスト分析を行い、その傾向を分析した。【結果・考察】授業前後を比較すると保健授業に関する項目では「保健の授業の中で自分の意見や考えを持つことができる」等の項目で値が上昇し、授業に対し主体的に取り組めたことが推測された。環境に関する項目では「環境問題は自身の行動で変えることができる」等の項目で値が上昇し、環境問題に対し積極的に解決しようとする姿勢へ変容したと考えられた。授業後の感想では日が経つごとに塩素濃度が薄くなることや、実験を通して日本の水の安全さを実感したこと等の感想があり、水質を守る仕組みや重要性について体験的に学ぶことができたことが確認された。これらの結果から本授業の実践が深い学びにつながったことが推測された。
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