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[03心-ポ-11]防御的な文脈情報は防御の選択反応を無意識に促進する
*Motoki Okumura1, Akifumi Kijima2, Keiko Yokoyama3, Yuji Yamamoto4 (1. Tokyo Gakugei University, 2. University of Yamanashi, 3. Nagoya University, 4. Niigata University of Health and Welfare)
対人スポーツの知覚-反応実験では,投げる・打つなどの単一の動作の動画を参加者に観察させて選択反応の精度を測定することが多い.しかし,実際のスポーツでは,状況が攻撃的・防御的であるかどうかの文脈情報に合わせて選択反応することが多い.すなわち,スポーツの攻防の選択反応は文脈依存的であるが,実験では文脈が取り入れられることが少ない.他方,実験心理学に目を向けると,意味の重複度や関連性が高いプライムの呈示によって,ターゲット刺激の処理が促進されることが知られている(犬→猫,医者→病院).それでは,スポーツの知覚-反応実験において,参加者に防御的な文脈情報を呈示した後に,防御の選択反応を求めると,文脈情報はプライム刺激としてはたらき,反応の時間が短くなり正確性が高まるのであろうか.対人スポーツでは,選択反応の時間や正確性のわずかな相違がパフォーマンスの成否に大きな影響を与えるため,反応を促進あるいは阻害する要因を明確にすることに高い価値がある.本研究では,剣道の間合いの詰め引きから打突までの文脈を利用した.剣道では,自分が間合い詰めた後は打突する頻度が高くなり,相手が間合いを詰めてきた後は打突される頻度が高くなる.そこで,1)自分が間合いを詰める攻撃的な文脈情報か,2)相手が間合いを詰めてくる防御的な文脈情報を呈示した後に,相手が(1)面か(2)小手を空けたら打突し,相手が(3)面か(4)小手を打突してきたら防御する4選択の反応課題を実施した.参加者は動画をモニタ上で観察し,4つの選択肢に対してボタンを押して素早く正確に反応した.分析の結果,防御的な文脈情報の呈示後は攻撃よりも防御の反応が早くなった.また,攻撃的な文脈と比較して防御的な文脈情報の呈示後の方が防御の反応が早くなった.つまり,防御的な文脈情報は,防御に関わる脳部位を活性化させ選択反応を促進すると考えられる.
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