Presentation Information
[03心-ポ-27]所属ステレオタイプと自己ベスト更新率の関係
*Sachi Ikudome1, Ryo Watanabe1,2, Riko Otsuka3, Mikoto Mishima3, Hiroki Nakamoto1 (1. National Institute of Fitness and Sports in Kanoya, 2. Postdoctoral Research Fellow of Japan Society for the Promotion of Science, 3. Graduate School of Physical Education, National Institute of Fitness and Sports in Kanoya)
「女性は数学が苦手」というステレオタイプ (以下,STと略す) の喚起は,その後の数学の成績を低下させるという報告がある.スポーツにおいても「我々のチームは弱小である」といった様々なSTが存在するが,スポーツ固有のSTと競技成績との関係は不明である.この検討は,自己ベスト更新を促進又は抑制する心理的要因の解明という重要な意義を有するといえる.そこで本研究では,所属チームの優劣についてのSTが自己ベスト更新率に関係するかどうか検討することを目的とした.対象は,体育系大学に所属し,記録型種目を専門とする大学生競技者50名のうち後述する42名とした.測定項目は,潜在及び顕在ST,大学入学後の自己ベスト更新率の3つであった.潜在STの測定には,該当するキーワードを所属チーム―ライバルチーム,又は,優れた―劣った等に素早く振り分ける潜在連合テストを用いた.しかし,横断調査では,自己ベスト更新率が潜在STに影響した可能性を否定できない.そこで,大学入学時の所属チームの優劣について回答を求めるVASを用いて顕在STも測定した.自己ベスト更新以前の顕在STが負である (所属チームは劣っていたと顕在的に認識している) 者のみを対象とすることで,自己ベスト更新という事実が潜在STを正方向に歪めた可能性を出来る限り排除することを試みた.結果として,自己ベスト更新以前の顕在STが負の者のうち,潜在STが正である (所属チームは優れていると現在潜在的に認識している) 者は,負である (所属チームは劣っていると認識している) 者と比較して,平均自己ベスト更新率が有意に高い傾向が示された (t (40) = 1.861, p = .070, d = .57).以上より,過去に負の顕在STを有していた者の潜在STが正方向に変容することが,自己ベスト更新の可能性を高める心理的要因である可能性が示唆された.
Comment
To browse or post comments, you must log in.Log in
