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[03心-ポ-75]ハンドボール競技における試合のよい“流れ”を引き寄せるオフェンスプレーH大学女子チームの3年間の地方1部リーグ戦による事例研究
*Atsushi Itaya1, Soshiro Ueno2, Tokiya Noshiro2, Junya Takase1 (1. Hokkaido Univ. of Education, 2. Univ. of Tsukuba)
本研究は、多くのプレーヤーが関与し、手数をかけて得点できたプレーが試合のよい“流れ”を引き寄せるとの仮説を検証した。連続して得点した場面で自チームによい“流れ”が来ていると感じるプレーヤーが多いことから、連続得点の1点目(起点)か否かにオフェンスプレーのパス回数が影響するか検討した。大学女子ハンドボールチーム(地方1部、全国大会出場)の2022〜2024年度のリーグ戦全20試合を分析対象とした。試合動画を視聴し、攻守が切り替わるまでのパス回数、得点の可否、連続得点の起点か否か、得点状況(得点差)をそれぞれ記録した。得点してから次に得点するまでのパス回数を累積パス回数として算出した。パス回数、または累積パス回数が得点差と起点か否かに関係するかどうか検討するために、得点差7水準(-3、-2、-1、0、1、2、3)×起点2水準(起点か否か)による二要因分散分析モデルを、固定効果を得点差と連続得点の起点、変量効果を試合とする線型混合モデル(LMM)で分析した。累積パス回数のLMMは、得点差、および起点の主効果にのみ有意性を認め(順にp = 0.002、p < 0.001)、それぞれビハインド場面と起点で累積パス回数は多かった。この結果は、得点するまでに多くの手数をかけてきているオフェンスプレーが連続得点の契機になりやすいことを示し、本研究の仮説を支持した。パスを重ね攻撃の試行錯誤を繰り返すうちに、相手ディフェンスの隙を突く戦術が見出され、連続得点に繋がる突破口が開かれると推測される。また、行動選択において、ヒトはより労力を要する選択の結果をより肯定的に捉える傾向がある。多くのパスを費やしてもぎ取った得点は、チームを勇気づけ、連続得点を導く大胆な攻撃を引き出す可能性もある。したがって、多くの手数を費やし苦労して得点できたプレーが試合のよい“流れ”を引き寄せると結論づけられる。
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