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[08測-ポ-06]幼児期における腸内細菌叢の経年変化3年間の縦断的調査から

*Kazuo Oguri1 (1. Gifu Shotoku Gakuen university)
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2025年5月に大腸ガンの原因の5割が腸内細菌の働きにある可能性が報告された。腸内細菌叢の組成バランスが乱れる、すなわちdysbiosisに陥ると、ガンだけでなく、肥満、アレルギー、皮膚疾患、婦人科疾患、精神疾患など多くの疾病につながる。この組成の変動因子は、食事・運動・睡眠などの生活習慣、ストレス、加齢が報告されており、健全な腸内環境を維持するためには、これらの因子の影響を理解する必要がある。加齢因子は、腸内は胎内の無菌状態から出生後に細菌が増殖し、3~5歳で成人と同様の状態になるものと考えられている。しかし、小児期の腸内細菌叢の経年変化は、日本人小児から得られた知見は極めて少ない。そこで、本研究では、幼児を対象に腸内細菌叢の組成を3年間分析し、その経年変化を検討することを目的とした。幼児34名(男児15名、女児19名)を対象に、年少、年中、年長の各々12月に、体格と腸内細菌叢の測定、および運動習慣に関するアンケート調査を行った。糞便を採便容器にて収集し、細菌16SrRNAを標的とした定量的RT-PCR法による次世代シーケンサーを用いたメタゲノム解析を株式会社サイキンソーに委託した。門レベルの組成、保有菌の種類数や多様性指標、属レベルの各菌は、年少・年中・年長の間に有意差は認められなかった。年少・年中・年長の間において、保有菌の種類数や多様性指標、門レベルの組成は有意で強い相関関係が認められたが、Bifidobacterium、Lactobacillus、Blautia、Roseburia、Prevotella、Veillonellaは有意な相関関係が認められなかった。したがって、幼児期の腸内細菌叢は、門レベルでは経年的に大きく変化しない一方、属レベルでは変化がみられることが示唆された。

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