Presentation Information
[08測-ポ-16]大学野球選手における投球障害との関連性に着目した肩甲骨偏位の縦断的検討
*Koki Hyakutake1, Masafumi Fujii2, Akira Maeda2 (1. National Institute of Fitness and Sports in Kanoya graduate school, 2. National Institute of Fitness and Sports in Kanoya)
投球側肩甲骨の外転偏位と下方回旋偏位は投球障害の発生要因の1つとされており、現場でも投球障害を抱える選手はこれらの肩甲骨偏位が著明であることを経験する。しかし、野球選手における肩甲骨偏位の実態について検討した報告は少ない。また、肩関節機能は経時的に変化することが報告されており、肩甲骨偏位も同様に縦断的にみる必要があると考えられる。そこで本研究では、大学野球選手におけるプレシーズンとインシーズンとの間に肩甲骨偏位の変化はみられるのか、投球障害の有無によって肩甲骨偏位に違いはみられるのかを明らかにすることを目的とした。対象は大学野球選手56名(投手17名、野手39名)をとし、プレシーズン(2025年2月)とインシーズン(同年5月)の2回にわたり測定を実施した。測定方法は、座位にて上肢を自然下垂させた状態で行った。測定項目は、胸椎棘突起から肩甲骨上角の距離および胸椎棘突起から肩甲骨下角の距離の2項目とした。その結果、プレシーズンにおいては、投球側肩甲骨下角(10.30±0.9cm)は非投球側(10.55±1.0cm)と比較して有意に内転位に位置していた(p<.05)。インシーズンにおいても同様に投球側肩甲骨下角(10.24±1.1cm)は非投球側(10.89±1.0cm)と比較して有意に内転位に位置していた(0<0.001)。一方で、肩甲骨上角はプレシーズン・インシーズンともに投球側と非投球側との間に有意差は認められなかった。また、投球障害を有する投球障害群と有さない非投球障害群との比較では、いずれの項目においても有意差は認められなかった。これらの結果から、大学野球選手の肩甲骨偏位の実態として、下方回旋偏位を示すものの、外転偏位は認められないこと。さらに、肩甲骨偏位だけで投球障害を説明するのは難しく、併せて関節機能などの多様なデータを継続して測定する必要があると考えられた。
Comment
To browse or post comments, you must log in.Log in
