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[08測-ポ-30]対側肢の力発揮がグレーディング能力に及ぼす影響
*Tatsuya Hayami1, Junichi Hirono1 (1. Shinshu University)
【はじめに】多段階に設定された目標力を正確に発揮する筋出力のグレーディング能力は、合目的な運動遂行や運動学習の効果に重要な役割を果たす。そのため、グレーディング能力の測定評価を実施する有用性は高いと考えれらる。ただし、実際の運動場面では、対側肢の力発揮が全く生じていない状況は考え難い。ヒトの力発揮において、非対称性の神経支配をしている部位に関しては互いに抑制性の神経機構があるが、対側肢の力発揮がどの程度グレーディング能力に影響を及ぼすかについては明らかにされていない。【目的】本研究では、対側肢の力発揮の程度が変化した場合にグレーディング能力がどの程度変化するか明らかにすることを目的とした。【方法】神経学的既往の無い18名を対象とした。運動課題は等尺性収縮による肘関節屈曲および伸展運動とした。条件は、非利き手での筋出力4段階(0% MVC、20% MVC、50% MVC、70% MVC)×利き手でのグレーディング3段階(30% MVC、50% MVC、70% MVC)の12条件とした。初めに非利き手および利き手の最大随意収縮力を測定し、各条件の目標力を算出した。次に、対象者の前方に設置したモニタに非利き手の目標力を表示し、対象者は非利き手の目標力に等尺性収縮力を合わせた状態で利き手側でのグレーディングを行った。利き手側の等尺性収縮力について、目標力と実際に発揮した力との誤差(恒常誤差)を算出した。【結果】肘関節屈曲運動および伸展運動ともに、非利き手の目標力が高い場合はグレーディングの正確性が低下することが明らかとなった。また、その傾向は利き手の目標力が低い場合に顕著に認められた。一方で、非利き手の目標力20%MVCにおいて利き手のグレーディングの正確性が高くなる可能性が示唆され、グレーディング能力の測定においては対側肢の力発揮の状態に留意する必要性が考えられた。
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