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[08測-ポ-32]踏み出し戦略に着目した「転倒誘発装置」の検討平衡能力と移動能力に焦点を当てて

*Takako Hiwa1, Shoko Inoue2, Rei Kato3 (1. Niigata University, 2. Graduate School of Modern Society and Culture, Niigata University, 3. Tokyo University of the Arts)
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転倒を回避する一つの方策は、身体重心を通る鉛直線が支持基底面から外れても、脚を踏み出し新たな支持基底面を作り、その中に再び身体重心を収めることである。そのため筆者らは、足元のボードを前方へ傾け、姿勢・バランスの乱れを意図的に作り出し、転倒を誘発する装置を開発した。この転倒誘発装置では、傾いたボードの先端が床に着いてから被験者の足裏がボードから離れるまでの反応時間(A)、ボードから離れた足が着地までにかかる時間(B)、AとBから算出される脚の踏み出し速度及び歩幅を測定できる。そこで本研究は、転倒誘発装置で得られる値及び転倒予防に関連する平衡能力と移動能力について転倒歴の有無で比較し、本装置の転倒リスク評価法としての有用性について検討することを目的とした。若年成人124名(20.8±1.9歳、男性52名、女性72名)を対象に転倒誘発装置での測定と足圧中心測定(開眼片脚立位・左右各30秒間)、開閉眼片脚立位時間(左右)、FR、TUGの測定と転倒歴を調査した。転倒群(28名)と非転倒群(96名)に分け、各値を比較した結果、本装置における「踏み出し距離」において、転倒群(76.6±16.6cm)は非転倒群(87.0±17.3cm)よりも有意に低値を示した(p=0.005)。加えて、開眼片脚立位時間(左)及び本装置における「踏み出し速度」において、転倒群は非転倒群よりも値が低い傾向を示した(p=0.066,p=0.068)。さらに、足圧中心測定(右)の総軌跡長と単位軌跡長は、転倒群が非転倒群よりも値が高い傾向を示した(p=0.057,p=0.057)。FR及びTUGでは、群間差は示されなかった。以上より、転倒誘発装置における「踏み出し距離」と「踏み出し速度」において転倒歴の有無による値の差が示されたため、FRやTUGでは評価できない転倒のリスクを本装置では評価できる可能性が示唆された。

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