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[09コ-ポ-11]ランニングにおける反実仮想説明法を用いたトレーニングの個別最適化に対する可能性探索

*Ryuichiro Inaba1, Yosuke Miyazaki1, Ken Hirano1 (1. ASICS Corporation)
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近年、アプリケーションやデバイスの普及により、ランナーは自身のランニング特徴(ペース、心拍数、ストライド長など)を容易に計測・蓄積できるようになった。特に、競技レベル向上を目指すランナーには、蓄積されたデータから個人の特性を踏まえた具体的かつ実行可能なトレーニング提案が不可欠である。しかし、従来の方法は一般向けの画一的なものや経験則に基づいたコーチングが多く、ランナーそれぞれに最適化された提案をするのは未だ困難な点が多い。このような課題に対し、因果推論分野における反実仮想説明法は、具体的な行動改善策を提示する手法として金融や医療分野で活用されつつあり、個別最適化された行動提案の可能性が広がっている。そこで、本研究では競技力向上に重要なトレーニング方法の個別最適化への知見を得るための第一歩として、練習の質(練習メニュー)と量(走行距離、走行回数)という基本要素に着目し、反実仮想説明法を用いることで目標達成のために必要な変更内容を個人にとって受け入れやすい形で提案する方法を確立することを目的とした。具体的には、DiCEを用いて、目標とするフルマラソンタイムの達成に必要な練習の質と量の組み合わせである大量の反実仮想説明(「もしこのように練習を変えていれば目標達成できた」という提案)を生成した。本研究では、各個人での受け入れやすさと期待される練習効果のバランスが最適な反実仮想説明を抽出するために、生成された各反実仮想説明において、個人の嗜好に基づいた変更のしやすさを示す「変更優先度」、現状からの「変更量」、提案により見込まれる「目標達成確率の変化量」の3要素を定量化した。さらに、これらを統合したスコア関数を用いることで、各個人にとって最適な反実仮想説明を提案するアルゴリズムを構築した。本発表では、5名程度のランナーを対象とした実証実験の結果から、提案手法の妥当性を報告する。

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